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<ヘイトスピーチ規制>「日本政府は国連委員会の勧告を実施せよ」NGOがアピール
国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に勧告をおこなったことを受けて、日本のNGO関係者が記者会見を開いた

<ヘイトスピーチ規制>「日本政府は国連委員会の勧告を実施せよ」NGOがアピール

国連・人種差別撤廃委員会が8月下旬に「最終見解」を出し、日本政府にさまざまな「人種差別対策」を勧告したことを受けて、日本のNGO関係者らが9月2日、東京・永田町で記者会見を開いた。

ジュネーブで委員会を傍聴した師岡康子弁護士は会見で、「現状をよく踏まえて、勧告してもらえた。今の日本の情勢にとって、非常に大きな意味があることだ」と、見解の内容を評価した。また、日本政府に対しては「ヘイトスピーチを含む人種差別を禁止する法制度を整えてもらいたい」と述べた。

●日本の「ヘイトスピーチ」はどう見られているのか?

日本が1995年に加入した「人種差別撤廃条約」では、参加国で差別が行われていないか、国連の人権差別撤廃委員会が審査する。今回の「最終見解」は、日本への審査の総括として、同委員会が8月29日に採択したものだ。

最終見解は、日本のヘイトスピーチの状況にも言及している。特に在日韓国・朝鮮人(コリアン)への人種差別的デモ・集会をする団体によるヘイトスピーチのまん延や、政治家・公人によるヘイトスピーチが報告されたこと、メディアでのヘイトスピーチの広がりなどについて、懸念が表明されている。さらに、そうした行為が適切に捜査・起訴されていないことも、懸念点だとしている。

こうした状況に対して、最終見解は「ヘイトスピーチとたたかうための措置が、抗議する権利を奪う口実になってはならない」としつつも、「弱者がヘイトスピーチやヘイトクライムから身を守る権利」を再認識するよう指摘した。

そして、人種差別的な表明や差別的暴力に断固として取り組むことや、メディアのヘイトスピーチとたたかうため適切な手段をとること、そうした行為に責任のある個人・団体を訴追したり、ヘイトスピーチをする政治家・公人に制裁を科すことなどを、政府に勧告した。

●秋の臨時国会に法案を提出する動きも

ヘイトスピーチへの法規制については、自民党がプロジェクトチームを設置しているほか、超党派での法案作成の動きもある。記者会見に出席した民主党の有田芳生参議院議員は「(秋の臨時国会に向け)人種差別撤廃基本法を準備している。拡大適用されないものにする」と表明していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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