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「コンビニ店主も労働者だ」 加盟店のオーナーたちが「働く環境」の改善を要望
三井義文・コンビニ加盟店ユニオン副執行委員長(左)と中野和子弁護士

「コンビニ店主も労働者だ」 加盟店のオーナーたちが「働く環境」の改善を要望

コンビニエンスストアの加盟店主たちでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」は7月30日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、加盟店主たちが働く環境の改善を訴えた。

千葉県佐倉市でセブン-イレブンの加盟店を営む、同ユニオン副執行委員長の三井義文さんは、「店のレイアウトは本部が決める。商品の企画も本部が決める」と指摘。同ユニオン顧問弁護士の中野和子弁護士は「加盟店にはほとんど裁量がなく、(店主は)年間3000時間以上の長時間労働を強いられている」と強調した。

●コンビニ加盟店主は「労働者」なのか

三井さんは会見で、「店舗の口座は本部が管理していて、店主が残高を聞いても教えてもらえない」「商品仕入れ値が、量販店の店頭価格よりも高いと指摘したら、本部から『信頼してないのか』と言われた」などと話し、加盟店と本部の間に、大きな力関係の差があることを説明した。

コンビニチェーンの各店舗の店主は、本部に雇用されているわけではなく、本部とフランチャイズ契約を結んだ「オーナー」という立場だ。しかし、岡山県労働委員会は今年3月20日、「加盟店主の独立性は希薄であり、労働組合法上の労働者」だという判断を下している。

会見に同席した同ユニオン顧問弁護士の中野和子弁護士は「コンビニフランチャイズは偽装された雇用関係。フランチャイズ契約という名称が付けられたとしても、業務の実態が従属的な場合は労働契約と考えるべきだ。加盟店にはほとんど裁量がなく、(店主は)年間3000時間以上の長時間労働を強いられている。売上金も本部に持っていかれる」と指摘した。

また、連合岡山の高橋徹会長は、「コンビニのオーナーが労働者なのかどうかについては連合の中でも議論があるが、本部と加盟店の間に圧倒的な差があることが分かってきた。経営者と労働者の間のグレーゾーンにいる人たちに、いかに向き合うのかが問われている」と述べた。

●「フランチャイズ契約を規制する法律」が日本にはない

質疑応答では、コンビニ加盟店主と本部との関係や国際比較について、質問があいついだ。

加盟店の裁量権が限定されていることの具体例を問われると、三井さんは「店のレイアウトは本部が決める。商品の企画も本部が決める。商品をどれを選ぶのかは私たちに任されているが、本部の推奨商品導入率のデータを渡され、他店と比較される」と述べた。

また、加盟前に契約書をどれだけ確認したのかという質問に対して、中野弁護士は「契約書がどのような意味を持つのか理解するためには、良く読んで法律家に相談する必要がある。しかし、店主は読む機会を与えられずに、その場でサインを求められる。ほとんどの店主がセブン-イレブンは大きな会社だから悪いことはしないだろうと思って契約している」と指摘した。

三井さんは「私は以前、大手都市銀行の国際部門にいて、(契約の重要性を)わかっていたので、面接を受けるときに警戒されていた。もし弁護士を通じて、契約書の読み合わせをやっていたら、たぶんフランチャイズに入れなかっただろう」と語った。

中野弁護士は「フランチャイズ契約を規制する法律」について言及し、「アメリカにも韓国にもマレーシアにもあるが、日本にはない。このような法律を嫌う政治的な力が働いている。多くの議員に働きかけをしてきたが、関心を持つ人が少ない」と語っていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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