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年齢確認を怠って「酒・タバコ」を売ったらどうなる?

年齢確認を怠って「酒・タバコ」を売ったらどうなる?

コンビニなどで酒やタバコを買うときに求められる年齢確認。最近では、レジにある液晶画面に「あなたは20歳以上ですか」と表示され、購入者は確認ボタンを押すよう求められる。未成年者に販売しないようにするための店側の工夫だが、これに腹を立てた中学校非常勤講師の男(63)が、液晶画面を破壊して逮捕されたという。

報道によると、京都府八幡市のコンビニで2013年1月26日、男がタバコを購入しようとしたところ、店員に年齢確認を求められた。男は「年は見れば分かるだろ」と確認ボタンを押すことを拒否。店員と口論となって、液晶画面を素手で殴って破壊したというのだ。

男は器物破損の疑いで現行犯逮捕されたが、コンビニの年齢確認をめぐっては、昨年、俳優の梅沢富美男さん(62)が、コンビニで年齢確認ボタンを押すよう促され「キレた」というエピソードをテレビ番組内で披露している。梅沢さんらの気持ちはわからないものではないが、もし店員が年齢を確認せずに酒やタバコを販売したら、法的にどうなるのだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。

●タバコを販売する際、年齢確認を怠った販売者には「罰金」が科される

「酒・タバコは、いずれも未成年者が使用することは許されず、未成年者の使用を防ぐ目的で販売業者にも規制がかけられています。

タバコやキセルなど喫煙器具の販売では、未成年者喫煙禁止法4条にて、販売者の購入者に対する『年齢確認措置』が定められています。この年齢確認措置を怠った違反者には50万円以下の罰金が科せられます」

一方、足立弁護士によると、酒の販売の場合は、規制内容が微妙に異なるという。

「酒の販売については、未成年者飲酒禁止法1条4項にて年齢確認措置が求められておりますが、こちらは年齢確認措置そのものを怠った違反者に対して、罰則は科せられていません。

その代わり、未成年者に酒を販売または供与した違反者に50万円以下の罰金が科せられます。したがって、酒については、一見明らかに成人だと思われる方に対して、年齢確認せずに販売しても、罰則は科せられません」

つまり、酒の販売の場合は、明らかに成年の容姿をした購入者に対して、年齢確認せずに販売しても、罰則はないということだ。では、なぜコンビニなどは酒の場合も年齢確認の画面を押すことを求めているのだろうか。

「顧客の中には大人びた少年のように、年相応に見えない方もおられます。また大手コンビニチェーンともなると社会的影響力も大きく、一店舗で法令違反をすると全国に展開した数千店で大損害を被るおそれもあります。

そこで、大手の店舗では、法令遵守の徹底の観点から、レジでの顧客の年齢確認を画一的にシステム化しているのだと思われます」

(弁護士ドットコムニュース)

 

プロフィール

足立 敬太
足立 敬太(あだち けいた)弁護士 あい弁護士法人富良野・凛と法律事務所 旭川OFFICE
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に複数の分野を取り扱う。「常に相談者・依頼者様の視点に立ち、分かりやすい説明を心がけています」

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