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麻生財務相も嘆く「880兆円の現預金」どうすれば「眠る資金」が投資に向かうのか
銀行に長期間預金をしていても、現在の利率では得られる利息はわずかだ

麻生財務相も嘆く「880兆円の現預金」どうすれば「眠る資金」が投資に向かうのか

「どこの国に880兆円(も)のカネを現預金で持っている国があるのか。ふざけた話じゃないか――」。6月中旬の記者会見で、麻生太郎財務大臣がこう発言した。莫大な資金が成長産業などへの投資に回らず「眠ったまま」になっている状況を憂えたのだ。

日本の個人金融資産は約1650兆円で、そのうちの874兆円が現預金となっている。日本の現預金の割合は53%で、米国の13%や欧州の35%と比べると突出して高い。これを受けて麻生財務大臣は冒頭の発言をした。

では、どうすれば国民の金融資産が、投資などの経済活動に回るようになるのだろうか、また、そうなると日本経済にはどのような影響があるのだろうか。日本経済に詳しい税理士の山本邦人氏に聞いた。

●株価が上がれば、日本経済はよくなる?

現預金が投資などの経済活動に回っていない理由としては、国民の投資に対する基本的な知識と情報収集力が足りないこと、将来の所得に対する不安からリスク回避思考が強まっていることなどが考えられます。

しかし最大の理由は、投資するリスクに対してリターンが悪いからではないかと思います」

具体的にはどういうことだろうか。

「近年の個人の金融資産に対する投資(株式、出資、投資信託の合計)の割合は10%を下回り続けています。

しかし、株価が好調だった頃は違います。平成元年(1989年)12月には、日経平均株価が史上最高値の3万8957円に達しました。その前年の昭和63年には金融資産に対する投資の割合は27.5%もありました。このことから、日本でも儲かるならば、投資に回す人は少なくないということでしょう。

つまり、国民が貯蓄から投資に資金を回すには株価を上げる必要があります。例えば、アメリカのようにリーマンショック後も右肩上がりを続ける株価があれば、投資に関心を持つ人はもっと増えるはずです」

では、どうすれば株価は上がるのだろうか。

「平成26年1月に、日本でもNISA(少額投資非課税制度)がスタートしました。また、合わせて、税率20%と高かった株式の売却益と配当への課税が、年間100万円を上限に非課税とされました。

このようなこともあり、貯蓄から投資への流れが増えつつあるようですが、まだまだ金額が小さいです。

日本の企業が国際的な競争力を持てるよう、法人税を下げ、規制を緩和して自由な競争を促進し、移民の受け入れなどにより日本の人口を増やす等、各種の政策を進めていって日本を経済的に魅力のある国にする必要があると思います。

株価の上昇に期待が持てるようになり、貯蓄から投資に資金を回す国民が増えれば、ベンチャー企業や新分野の企業などに資金が流れ、さらに日本経済全体の発展が期待できるのです」

【取材協力税理士】

山本 邦人(やまもと・くにと)税理士

監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、平成17年に独立。現在は中小企業を中心に140件を超えるクライアントの財務顧問として業務を行う。税金面だけではなく、事業の継続的な発展という全体最適の観点からアドバイスを行う。

事務所名:山本公認会計士・税理士事務所

事務所URL:http://accg.jp

(税理士ドットコムトピックス)

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