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生活費や仕送り、お年玉・・・家族間でのお金のやりとりに「贈与税」はかかるの?
家族内のお金のやり取りにも、贈与税はかかるのだろうか

生活費や仕送り、お年玉・・・家族間でのお金のやりとりに「贈与税」はかかるの?

家族間でのお金のやりとりに「税金」はかかるのでしょうか――。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、こうした質問が寄せられている。

相談者は、配偶者や家族の預金口座を管理しているが、「少しでも増えれば」と考えて、金利のよい口座に移動させるなど、数百万円の預金を家族間で動かしていたという。そんな中、家族の間のお金のやりとりにも「贈与税」がかかるのではないかという疑問が、ふと頭に浮かんだようだ。

一般的に家族内でも、お小遣いやお年玉、仕送りなど、お金のやり取りは頻繁に生じる。こうした家族間でのお金のやりとりにも、すべて贈与税がかかってくるのだろうか。あるいは、「ここから贈与税がかかる」といった基準があるのだろうか。久乗哲税理士に聞いた。

●家族間でも、贈与は贈与

「たとえ家族間であっても、財産の移転は、基本的にすべて贈与になります。

贈与とは、『当事者の一方が、自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、その効力を生ずる』(民法549条)と規定されています。

『あげますよ』『もらいますよ』という意思が双方にあって、もらった人が、その財産を管理し支配し、処分する権利を持っていれば、家族間でも贈与になります」

では、夫の給与口座から生活費を妻の口座に移したり、一人暮らしの大学生の子どもの口座に学費や生活費を振り込んだりする行為も贈与にあたり、課税の対象となるのだろうか。

「それも贈与です。ただ、生活費や教育費に充てられていると通常認められるようなお金が、扶養義務者から与えられている場合は、非課税となります。安心してください」

では、生活費や教育費ではないようなお金は、どうなるだろう。

「もちろん贈与税の対象です。名目が生活費や教育費だったとしても、通常必要だと認められる以上の部分についても、贈与税の対象になるので注意してください。

たとえば、生活費を配偶者名義の口座に振り込んでいるけれども、あまった資金をへそくりして株式を取得したとしましょう。その株式取得資金は贈与があったとされるのです」

●「年間110万円」までなら非課税

では、たとえば10万円くらいのへそくり株式でも、課税されるのだろうか。

「いいえ。贈与税では、年間110万円までの贈与については非課税とされています。注意すべきなのは、長期にわたって決まった金額を贈与する場合です。

たとえば、家族間で1年あたり110万円を10年間、贈与として預金移動し続けるという約束をした場合は、毎年110万円の贈与にはなりません。『有期定期金に関する権利』の贈与を受けたこととなり、課税対象になります。

したがって、課税対象とされないためには、毎年こまめに贈与契約を結ぶ必要があります」

相談者の家族は、相談者自身が家族の預金を管理しているようだが、これは贈与と言えるだろうか。

「家族間の預金移動が贈与であるためには、受け取る預金を管理・支配・処分する権利が、受けとる側にある必要があります。

所有権の移転がない家族間の預金移動については、いわゆる『借名預金』です。その時点では贈与があったとはみられません。

しかし所有権が移転したとき、すなわち口座の管理・支配・処分権が家族に移転した場合は、そのときにその口座の残高が贈与があったとされることとなります。ご注意ください」

家族間のお金の移動は、どこの家庭でも他人事ではないだろう。「家族間だから・・・」と油断して、うっかり課税の対象とならないよう、賢くお金をやりとりしたいものだ。

【取材協力税理士】

久乗 哲 (くのり・さとし)税理士

税理士法人りたっくす代表社員。税理士。立命館大学院政策科学研究科非常勤講師、立命館大学院経済学研究科客員教授、神戸大学経営学部非常勤講師、立命館大学法学部非常勤講師、大阪経済大学経済学部非常勤講師を経て、立命館大学映像学部非常勤講師。第25回日税研究賞入選。主な著書に『新版検証納税者勝訴の判決』(共著)等がある。

事務所名 :税理士法人りたっくす

事務所URL:http://rita-x.tkcnf.com/pc/

(税理士ドットコムトピックス)

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