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2007年12月26日
第103号
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■■ 「弁護士ドットコム」法律相談所 第103回 ■■
〜「弁護士」が身近な法律をわかりやすく解説する法律相談コーナーです〜
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□□ 相談内容 □□
「車をぶつけた相手が悪いのに賠償金が減額された!」 〜 過失相殺(1)
先日、交通事故に遭い、車を修理しました。こちらの修理代は40万円で、相
手の車の修理代は50万円かかったようです。保険会社は、こちらの過失が2
割あるといって22万円しか払おうとしません。保険会社は、判例で過失割合
が決まっているとか言っていましたが、本当でしょうか。また、今回の事故は
車をぶつけてきた相手の方が悪いのに、なぜ修理額の半分ほどしか支払おうと
しないのでしょうか。
□□ 弁護士の回答 □□
○ 過失相殺とは?
民法第722条2項では「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考
慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と定められています。
これは、不法行為(交通事故など)の発生について、被害者にも落ち度があっ
た場合は、被害者の不注意の度合いを、損害賠償額を決めるうえで考慮できる
というものです。被害者に不注意があった場合でも、加害者に全責任を負わせ
るのでは不公平になることがあるからです。
このように、当事者間の過失の割合に応じて損害賠償額を減少させることを、
過失相殺(かしつそうさい)といいます。
○ 過失割合は決まっている?
事故の類型によって保険会社などから、この事故だと8:2が相当だ、などと
言われることがあります。しかし、この過失割合の数字は法律に書いてあるも
のではありませんし、保険会社が決めるものでもありません。実は、損害賠償
額を決めるにあたって過失相殺をするかどうか、その過失割合をどうするのか
については、事件ごとに裁判官が自由に決めるのです。
交通戦争などと言われたように、交通事故でのトラブルは古くからあり、裁判
になったケースは数多くあります。過去の裁判例をみてみると、事故の類型に
よって裁判所が決める過失割合については、おおよその予測がつきます。
というのも、裁判官が、同じような類型の事件で考える過失の割合はだいたい
共通しており、また過失相殺について同様の扱いをすることが同種事件間での
公平性・予測可能性を図ることができると考えられているからです。
そのため、交通事故に関する各種書籍などにも、過失割合の基準が掲載されて
います。そして、そのような基準が裁判外の交渉においても一般に活用されて
いるのです。
ただし、世の中には一つとして全く同じ事故というのは存在しておらず、一つ
一つの事故の事情をよく検討しなければ、本来あるべき過失割合とは離れたも
のになることもあるでしょう。
相手から納得のいかない過失割合を一方的に提示されたときには、一人で考え
ずに弁護士等の専門家へ相談するとよいでしょう。
○ 裁判では?
交通事故では、ほとんどの場合には加害者・被害者の双方に損害が発生します。
ご相談の件では、こちらの修理額が40万円なので、受取る賠償金は相手の過
失8割分の32万円のはずですが、相手の車についても50万円の修理代がか
かっていれば、その2割の10万円がこちらから支払うべき賠償金になります。
裁判において加害者側も修理代金を反訴で請求し、どちらの請求も認める判決
が出たときには、こちらは32万円の現金をもらって、相手には10万円の現
金を支払うことになります。この場合、32万円から10万円が差し引かれる
ことはありません。というのは、民法509条に「債務が不法行為によって生
じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。」
と規定されているからです。交通事故は不法行為なので、損害賠償請求権は相
殺できないということです。
○ 示談では?
しかし、裁判外の交渉では、示談することを前提に、賠償金を多く支払う方が
受取る分を控除して支払うようなことがあります。ご相談のケースでも、加害
者側の保険会社は、32万円から10万円を差し引いた22万円についてだけ
支払うことにしたのでしょう。
物損事故に過ぎないような場合にまで、現金の授受を行うのは面倒です。裁判
外の示談において当事者双方が納得のうえ合意していれば、控除後の金額を支
払うだけにしても民法509条には違反しないというわけです。
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