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2006年10月11日
第40号
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■■ 「弁護士ドットコム」法律相談所 第40回 ■■
〜「弁護士」が身近な法律をわかりやすく解説する法律相談コーナーです〜
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□□ 相談内容 □□
「生命保険金は相続財産なのか?」
先日、私の夫が亡くなりました。私は夫の後妻ですが、子どもはいません。夫
には前妻との間に息子がいます。夫は、受取人を私に指定して、生命保険をか
けてくれていました。支払われた生命保険金は、すべて私のものになるのでし
ょうか?それとも、前妻の息子と、相続分にしたがって、分けなければならな
いのでしょうか?
□□ 弁護士の回答 □□
○ 受取人が誰かがまず問題!
生命保険金が相続財産となるかどうかは、受取人が誰と指定されているかによ
って変わってきます。
生命保険の受取人が亡くなった本人であった場合、つまり、自分を受取人とし
て自分に生命保険をかけていたときは、生命保険金は相続財産となります。
これに対し、受取人が亡くなった本人ではなかった場合には、生命保険金は相
続財産とはなりません。
ですから、ご相談の件では、生命保険金は受取人であるあなた固有の財産とな
るのです。
○ 生命保険は特別受益にあたるか?
ところで、相続は、被相続人の死亡した時の財産を基準に分配されますが、生
前にたくさんの財産を贈与されている人がいる場合には、その点を考慮しない
で分配すると不公平になってしまいます。
そこで、民法では、相続人のうちで、このように生前贈与(遺贈も含む)を受
けている人がいる場合には、この生前贈与分の財産も、相続分の前渡しとみな
して、相続財産に加え、遺産の分配をすることとしています。
この生前贈与分を特別受益といいます。
たとえば、父が死亡し、相続財産が5000万円、相続人は母と長男で、長男は以
前父から2000万円を贈与されていたという場合、5000万円を母と長男で2500万
円ずつ分けるのではなく、相続財産に生前贈与分を加算した7000万円を半分に
し、3500万円を母に、残りの1500万円を長男に分配することになるのです。
では、生命保険金はどうでしょうか。
相続人のうちの一人が生命保険金の受取人として保険金を受けとった場合は、
その実質はその相続人が被相続人から生前贈与ないしは遺贈を受けたのとあま
り変わりません。
そこで、そのような場合、生命保険金そのものは相続財産ではないものの、相
続人間の公平をはかるために、生前贈与や遺贈の場合と同じように、特別受益
とみるべきではないかということが主張されたのです。
この点は実務上いろいろと議論のあったところですが、平成16年10月29日に、
最高裁判所の判例がでて、「生命保険金は特別受益ではない」と結論付けられ
ています。
つまり、生命保険金を相続財産に持ち戻して、相続人同士で分配する必要はあ
りません。
○ 不公平なときはダメ!
とはいっても、まったく例外がないわけではありません。最高裁の判例でも例
外の発生する余地が残されています。
具体的には、支払われた保険金の額や、その保険金の遺産の総額に対する比率、
受取人の被相続人に対する貢献度合いなど、あらゆる事情を総合的に判断した
うえで、生命保険金の支払いが、他の相続人との関係で、著しく不公平である
ような場合には、生命保険金も特別受益にあたることになります。
そして、生命保険金が特別受益にあたる場合には、特別受益分として、
(1)被相続人が支払った保険料総額、
(2)被相続人死亡時の解約返戻金額、
(3)払い込んだ保険料の保険料全額に対する割合を保険金に乗じた金額、
などを相続財産に持ち戻してから、遺産分割をすることとなるのが一般です。
以上のとおりですので、ご相談の件でも、事情によっては、生命保険金の一部
を、相続財産に持ち戻して、遺産分割協議をしなければならない場合もありま
す。
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