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2006年9月27日
第38号
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■■ 「弁護士ドットコム」法律相談所 第38回 ■■
〜「弁護士」が身近な法律をわかりやすく解説する法律相談コーナーです〜
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□□ 相談内容 □□
「交通事故の加害者が子どもの場合は誰が賠償責任を負うのか?」
小学校2年生の男の子が自宅前の路上(幹線道路ではない)に自転車で飛び出し
たところ、折から走行してきた乗用車と接触しました。幸い、男の子にケガは
ありませんでしたが、乗用車はこの事故でボディが凹んでしまい、修理代とし
て20万円がかかりました。この場合、男の子は車の修理代として20万円の賠償
責任を負わされるのでしょうか?(36歳、男性)
□□ 弁護士の回答 □□
○ 子どもは賠償責任を負わない。
ご相談の件では、男の子が、自転車に乗って、不注意にも道路に飛び出した結
果、乗用車を傷つけてしまっています。
もし、これが成人ならば、問題なく不法行為となり、乗用車の所有者に対して
一定の賠償責任を負います。
しかし、ご相談の件は、加害者が成人ではなく、小学校2年生の男の子ですから、
賠償責任を負うのは違和感がありますね。
民法では、未成年者が「その行為の責任を弁識するに足るべき知能」をそなえ
ないときは賠償責任がない(712条)とされており、判例によれば、その知能を
そなえた年齢は、だいたい12歳前後とされていますので、小学校2年生の男の子
は、賠償責任を負わないことになります。
○ 代わりに親が負担する!
では、加害者が12歳以下の子どもであったような場合、被害者は泣き寝入りす
るしかないのでしょうか?
たとえば、小学生の児童に自宅を放火されたような場合でも、被害者が誰にも
損害賠償請求できないとしたら、困りものです。
そこで、民法では、加害者が子どもであるために、賠償責任を負わない場合に
は、その子どもを「監督する法定の義務を負う者」に代わりに賠償責任を負わ
せました。具体的には、その子の親ということになります。
子どもが他人様(ひとさま)に迷惑をかけた場合には、親がきちんと責任をと
りなさい、ということです。
○ 全額負担しないといけないの?
そうすると、ご相談の件で、修理代は、小学校2年生の男の子の親が負担するこ
ととなります。
とはいっても、修理代の20万円全額を負担しなければならないのでは、やはり
違和感を感じますね。
第一、この事故は、車VS子どもが乗った自転車ですし、子どもが飛び出したと
はいえ、事故の原因は双方にあるといえますから、子どもの親が一方的に車の
修理代を支払わされるのでは不公平です。
このようなときは、一方が全額賠償するのではなく、双方の過失割合によって、
賠償額は決められることになります。
○ 具体的には?
では、ご相談の件での、双方の過失割合はどうなるでしょうか?
過失割合については、さまざまな事故態様ごとに、ある程度基準が確立されて
いますので、その基準に基づいて考えてみましょう。
自転車が車道に出た際に、乗用車と接触した事故の場合の、基本的な過失割合
は、自転車40パーセント・乗用車60パーセントです。
その車道が幹線道路であった場合や、自転車が徐行せずに車道に飛び出したよ
うな場合には、自転車の過失割合が、それぞれ10パーセント高くなります。
他方、子どもや老人が自転車に乗車していた場合や、乗用車がスピード違反を
していたような場合には、乗用車の過失割合が高くなります(子どもや老人の
場合は10パーセント、15キロ速度超過で10パーセント、30キロ速度超過で20パ
ーセント)。
とすると、ご相談の件では、男の子が「飛び出した」という点で、10パーセン
ト過失が加算され、逆に、男の子が「子ども」であるという点で、10パーセン
ト過失が減算されますから、結局、過失割合は、4対6となります。
したがって、男の子の親は、乗用車の所有者に対して、20万円の40パーセント
である8万円の賠償責任を負う、ということになります。
○ もし、男の子がケガをしていたら?
ご相談の件では、幸い、男の子にケガはなかったということですが、もし男の
子がケガをしていたらどうなるでしょうか?
この場合は、男の子のケガの治療費や慰謝料などの60パーセントを、乗用車を
運転していた人が賠償しなければなりません。
○ 事故が起きたら警察を!
このように、交通事故の賠償金の算定は、過失割合によって、大きく変わりま
す。
そして、過失割合の決定にあたっては、警察の作成した実況見分調書が重要な
意味を持ちます。
ですから、交通事故が起きたときは、きちんと警察に通報するようにしましょ
う。
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