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利用者の声

<質問>

  1. 私は、マンションの一室をAさんに賃貸しておりましたが、Aさんが亡くなり、5ヶ月が経過しますが、Aさんが亡くなってからずっと賃料の滞納が続いております。賃料滞納を理由とする契約解除の通知を出そうと思っておりますが、解除通知は、Aさんと同居していた息子さんで、Aさんが亡くなった後にも本件建物に住んでいるBさんに通知すればよいでしょうか。Aさんには、Bさん以外にも息子が2人いると聞いており、まだ、Aさんの遺産分割協議も行われていないと聞いております。

  2. (1) 私は、マンションの一室に内縁の夫と共に10年近く住んでおりますが、内縁の夫がこの度なくなりました。賃貸人からは私には借家権はないとして立ち退きを求められているのですが、立ち退きに応じなければならないのでしょうか。なお、内縁の夫には他に相続人がいません。
    (2) (1)の事例で、夫には養子がいて、その養子Bから夫の借家権に基く立ち退きを求められている場合は、どうでしょうか。
    夫と養子Bは、もう10年くらい不仲で、交流がなく、養子Bとの離縁調停の最中に夫がなくなりました。養子Bは私には経済力がなく、単身で新たに住むところを探すとなると大変な出費になります。


<回答>
  1. 質問1の回答
     借家権も相続財産の一つと考えられておりますが、相続が始まると遺産分割協議によって相続財産の帰属者が決まるまでは、相続人全員で相続財産を共有しているものとみなされます(民法898条)。
     したがって、このような場合、賃貸借契約の解除の前提となる賃料支払の催告通知・解除通知は、相続人全員に対して行わなければならず、一部の相続人に対して催告通知・解除通知を出しても解除は認められません(民法544条、東京高判昭和36年6月26日・東京高判決時12?6?135)。
     したがって、本件ではAさんの戸籍謄本を取り寄せるなどしてAさんの相続人を調査した上で、その相続人全員に催告通知・解除通知を出さなければなりません。
     なお、Aさんの遺産分割協議によって、本件の借家権の相続人が確定した場合には、その者に対してのみ通知を出せば足りますが、その場合には遺産分割協議の提出を求めるなどして本件の借家権の相続人が確定していることを確認する必要があります。
  2. 質問2(1)の回答
     内縁の妻には、相続権がないのが原則です。したがって、内縁の妻というだけでは、内縁の夫が所有する不動産や預貯金の相続権はありません。
     しかし、借地借家法36条は、借家に従前から同居している内縁の妻又は養子について、死亡した元賃借人に他の相続人がいない場合には、借家権を相続する旨が定められております。
     したがって、本問の事例では借地借家法36条に基き、借家権の相続を主張できます。
  3. 質問2(2)の回答
     本問の場合には、他に相続人となる養子Bがおりますので、借地借家法36条では保護されず、借家権を相続した養子Bからの請求に対抗できないように思えます。
     しかし、最判昭和39年10月13日(判時393?20)は、設問と類似の事例で、養子Bからの請求は、権利の濫用に当たり許されないと判断しました。
     裁判所は、?相続人Bと被相続人の生前の関係、?相続人Bの借家の使用を必要とする事情、?借家から追い出される内縁の妻の生活状況などを考慮して、養子Bからの明け渡し請求を権利の濫用(民法1条3項)として許さなかったものです。

(以上)



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