顧問弁護士は、顧問先会社から法律的な相談を受け、その都度法的アドバイスをしますが、具体的にどのような場面でどのようなアドバイスをしているのか、ケーススタディとして下記にご紹介致します。

なお、弁護士には守秘義務がありますので、具体的な相談の一部を割愛したり、複数の相談を組み合わせたりしてご紹介している点はご了承下さい。

今回は、株券電子化と質権設定に関する事例になります。

顧問先より、株券電子化に伴う法的問題について相談がありました。細かい点を含めれば法的問題は多岐に渡りますが、重要な問題の一つである質権設定に関して下記のようなアドバイスをしました。

そもそも株券を相手方に渡す方法で質権を設定している場合(略式質)、株主名簿に権利関係が登録されません。そのため、株券電子化に伴い、担保として管理していた株券の担保価値を実質的に失う可能性があります。

そこで、株券電子化に向けて新たに質権設定の手続を行う必要があります。具体的には、質権者(債権者)が証券会社に「質権口(質権欄)」を開設し、質権設定者(債務者)が自身の「保有口」から質権者の「質権口」へ株式を移行させます。上記手続は、株券電子化(2009年1月に完全実施が予定されています)の前・後いずれのタイミングでも行うことができます。

この点、現行法では、質権者が質権の対象としている株券を自ら預託することは認められていません(株券等の保管及び振替に関する法律第14条3項)。そこで、債権者は一旦質権設定者に株券を返還し、その上で質権設定者が株券を預託し上記手続を行う必要があります。

しかし、質権設定者の協力が得られない場合など、上記手続を行うことが困難な状況も想定されます。この場合は、株券電子化に係る特例措置を活用することができます。すなわち、質権者は、一斉施行日の1ヶ月前から2週間前の前日までの期間、質権設定者からの承諾を得ずに、自ら預託し質権を設定することができる制度(株式等決済合理化法附則第10条)などが用意されています。

顧問先には上記の法的問題を説明し、株券電子化に伴うトラブルを避けるためにも、まずは一斉施行日前に質権設定者と円満に協議することを勧めています。

このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。

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