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このコーナーは、法律問題について、初歩的なご説明をするというものです。 そして、私は、「不動産取引」について、数回にわたり、相談に回答する形式で解説することになっています。
今回の相談はこちらです。
私は、不動産業者に一戸建てを紹介され、売買契約を締結しました。買主は私と弟の両名が共同購入者となりました。契約書にはローン条項を入れ、「契約日から2月以内に金融機関からの融資が下りない場合には、買主は契約を解除できる」「融資申込み先:都市銀行他」と書いてあります。なお、売買代金は5000万円で、弁済期は契約日の3ヵ月後となっております。また、買主が弁済期までに売買代金を支払わないなどの理由で、売買契約が解除された場合には、買主は、違約金として売買代金の2割を支払うとの条項もありました。
ところが、私が借主として銀行に融資の申し込みをしていたところ、その後、弟は家を買うことに反対するようになり、銀行が融資の条件としていた連帯保証人になることを拒んでしまいました。その結果、他の審査は通る見込みだったのですが、共同購入者が連帯保証人になることを拒否している点がネックとなり、金融機関からの借入ができなくなりました。
この場合ローン条項に基づいて、売買契約の解除ができるのでしょうか。もし、解除ができないとしたら、弁済期までに代金を用意できない場合には違約金として、買主である弟と私は売買代金の2割に相当する1000万円を支払わなければなりませんので、弟に連帯保証人になるよう再度説得しようと思います。 |
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1 売買契約書にローン条項が入っていない場合には、契約締結後、融資が審査で通らなかった場合でも、買主は、契約を無条件に解除することはできません。そのため、弁済期に売買代金を用意できず、売買代金を支払えなかった場合には、売主から契約を解除され、多額の違約金を請求されることになります(手付金を支払っている場合には、手付金は違約金に充当され、不足額まで請求されることになります)。
これに対し、契約書にローン条項が入っていれば、万一、融資が下りない場合でも、買主は契約を解除できます。その場合、解除をした当事者が損害賠償責任を負うことはありません。
そのため、売買契約書では、ローン条項の有無・内容について注意深く確認しておくことが必要です。
2 もっとも、売買契約が締結された以上、買主は、融資が実行されるよう誠実に努力する信義則上の義務を負います。
したがって、ローン条項によって、買主が契約の解除をすることができるのは、買主が金融機関からの借入をできるよう、誠実に努力した結果、借入ができなかった場合に限定されます。
買主側が融資に必要な書類はわざと提出しなかったり、融資の審査が下りないよう虚偽の事実を申請したため融資が下りなかったという場合には、買主側が契約責任を取るべきだという話になり、信義則上、ローン条項の適用による契約解除はできなくなります。
本件のように、共同購入者として融資に協力すべき信義則上の義務を負う弟が連帯保証人になること拒否して融資の実行を妨害したのであれば、このような弟の責任は、買主側の責任ということになり、ローン条項の適用は認められないでしょう。東京地裁平成10年5月28日判決(判例タイムズ988号198頁)も、本件と同様の事案でローン条項の適用による買主側の契約解除を否定しています。
3 確かに、弟の責任で契約解除になったのですから、あなたにも違約金の支払いなどの契約責任がかぶってくることは不当なように思えます。しかし、それは、買主内部における責任の分担の問題であって、売主にはそのような主張をすることはできません。
仮に、売主からあなたに違約金の支払い請求されたら、交渉によって違約金の減額のための話し合いをするのはひとつですが、交渉がまとまらない場合には、支払うべき違約金はあなたが支払った上で、あなたが支払った違約金については全額弟に求償することになるでしょう。
4 したがって、本件では、このままではローン条項による解除が認められず、違約金を支払わなければならないこと、違約金は最終的には弟が全額負担することになること、を理由に再度説得するのがよいでしょう。
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寄稿担当:秋山 亘 弁護士
所属:佐久間・秋山法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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