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宅建業者の報酬請求権

このコーナーは、法律問題について、初歩的なご説明をするというものです。
そして、私は、「不動産取引」について、数回にわたり、相談に回答する形式で解説することになっています。

今回の相談はこちらです。

Q
(1)不動産の仲介を依頼した者が、宅建業者が紹介した者と直接契約をした場合に、宅建業者は依頼者に対して報酬請求できるのでしょうか。できるとしていかなる根拠に基づいてできるのでしょうか。

(2)また、依頼者が自ら若しくは他の宅建業者を通じて契約を結んでしまった場合に、依頼を受けた宅建業者が自己の仲介行為に対して報酬を請求できる場合はあるのでしょうか。


A

(1) 宅建業者が紹介した者と依頼者が直接取引した場合


不動産業者と依頼者が行う媒介契約は、

 1. 不動産業者の仲介に因り、
 2. その紹介した者と依頼者が契約を締結したこと、

を条件に報酬請求権が発生するもので、民法上の停止条件付きの報酬支払契約に該当します。

従って、依頼者が手数料の支払いを免れるために不動産業者との媒介契約を解約し、その後直接取引をした場合には、故意に条件成就を妨げたことになりますので、民法130条により、条件が成就したとみなして報酬請求ができます。

但し、業者の交渉が全くの失敗に終わっていたが、その後依頼者が直接交渉をしたことに因って直接契約がうまくいったという場合には、不動産業者の仲介と契約締結との間に因果関係が欠けるとして、報酬請求権が発生しない場合もあるでしょう。上記因果関係が欠けるか否かは、不動産業者が行っていた交渉の内容と依頼者が直接取引をした契約内容を比較して、両者に契約の本質的内容に大差がないかどうかを中心に、その他不動産業者が行った契約交渉の期間、依頼者が当該不動産業者を排除した経緯、理由等を加味して判断することになります。

なお、不動産業者が依頼者と媒介契約を締結したが(宅建業法34条の2で書面化が必要)、不動産業者の報酬請求権について、明確な取り決めが為されない場合があります。

このような場合にも、商法512条を根拠に報酬請求権は発生しますが、この場合に報酬を訴訟で請求する場合には、必ずしも宅建業者の報酬の上限金額(400万円超が3%等)がそのまま認められるわけではありません。これを上限として不動産業者の貢献度に応じた客観的相当額を裁判所が認定することになりますから、宅建業者の貢献度によっては思った以上に低い金額になる場合もあります。

(2) 依頼者が自ら若しくは他の宅建業者を通じて契約締結をした場合


不動産媒介契約には、

 1. 依頼者が他の業者にも媒介を重ねて依頼できる一般媒介契約、
 2. 他の業者には媒介依頼を禁ずる専任媒介契約、
 3. 専任媒介契約には、更に依頼者が自分で取引相手を見つけて取引することを許さない特約を設けた専属専任媒介契約
の3種類の契約があります。このうち2、3の形態は、依頼者に対して厳格な説明義務があり、これを怠ると契約自体が無効になる可能性があります。

さて、質問の件ですが、2の専任媒介契約を締結した場合には、依頼者は他の業者へ依頼することはできず、他の業者が紹介した者と契約締結をしても、依頼者は専任媒介契約をした不動産業者に対して媒介契約上の報酬を別途支払わなければなりません。ただし、不動産業者が行っていた媒介行為の程度によっては報酬金額は減額される場合もあります。

また、3の専属専任媒介契約をした場合にも、自らが見つけた者とも契約締結できず、その者と契約締結しても媒介契約上の報酬を別途支払わなければなりません。

これらに対して1の一般媒介の場合は、依頼者が買主を自ら見つけて契約締結をすることは禁止されません。

もっとも、不動産業者の努力によって売買契約成立の一歩手前まで来ていたのに、売り主が第三者と直接取引してしまったという場合に、売主の行為は信義則に反するとして、前記の民法130条ないし民法648条3項に基づき報酬請求権の一部を支払うべきとした裁判例もあります。

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秋山 亘 弁護士 寄稿担当:秋山 亘 弁護士
所属:佐久間・秋山法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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