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このコーナーは、法律問題について、初歩的なご説明をするというものです。 そして、私は、「借地借家問題」について、数回にわたり、相談に回答する形式で解説することになっています。
今回の相談はこちらです。
現在、借地上に木造住宅を建てて住んでおりますが、近時の耐震問題の報道などで不安なので、いまと同じ木造住宅としてではありますが、全面改築をしたいと思っています。
ところが、賃貸借契約書には、「増改築は地主の承諾を要する」と記載されており、地主は、建物の改築を承諾してくれません。
この場合、どのような手続きを取ったらよいのでしょうか。 |
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1. 借地借家法の増改築許可の裁判
建物の増改築については、契約書において、建物の増改築禁止特約が締結されている場合が通常です。
したがって、まずは地主の承諾を取り付ける努力をしてみるべきでしょう。それでも、地主が承諾に応じてくれない場合には、裁判所へ増改築の許可の裁判を求めることになります(借地借家法17条2項)。
増改築許可の裁判の要件ですが、「土地の通常の利用上相当であること」が要件となっています。
例えば、増改築によって建築基準法違反になる場合や、近隣の日照権侵害が生じてしまう場合、土地を地中深く掘り下げる工事をするなど土地の造成そのものに大規模な変化を加えてしまう場合には、「土地の通常の利用上相当である」とは言えませんので、許可の裁判はおりません。
また、近々、借地権の存続期間が満了し(あと2年が一つの目安です)、かつ更新拒絶の正当事由が認められる蓋然性(がいぜんせい)が高い場合も、原則として、許可の裁判はおりません。
しかし、以上のような事情がなければ増改築の許可はおります。
もっとも、建物増改築がなされると、地主としても、将来の期間満了の際に更新拒絶の正当事由を具備することが難しくなる、期間満了の際に借地人から建物買取請求権(借地借家法上、借地人は期間満了の際に地主に建物を時価で買い取るよう請求する権利があります)を行使されるという不利益をこうむります。
そこで、増改築許可の裁判の際には、裁判所は、借地人に対し一定額の承諾料を地主に支払うよう命じ、その支払いを条件に増改築を許可するとの裁判を出す場合がほとんどです。
この承諾料の相場ですが、全面改築の場合でも、更地価格の3パーセントが原則となっております。事案によっては5パーセントまで増額することになっています。 増額される場合としては、これまで住居用の建物であったのがアパート仕様の建物に変更する場合、建坪が大幅に増加する場合などです。
本件のように個人の自宅用の建物をこれまで通り自宅用の建物に改築する場合には更地価格の3%と考えてよいでしょう。
したがって、地主と増改築許可について裁判外で交渉する場合にも更地価格の3%というのが承諾料の目安になります。
なお、裁判所は、この他に、これまでの地代が近隣の地代相場に比べて特に低い場合には、承諾料の支払いのほかに、地代の改定も付随処分としておこなうことがあります。
本件でもこれまでの地代が相場より特に低い場合には地代が相場レベルまで上げられる可能性はあるでしょう。
2. 借地条件変更の裁判との違い
上記の増改築許可の裁判ですが、これと似て非なる裁判に借地借家法17条1項の「借地条件変更の裁判」というものがあります。
これは、賃貸借契約書において借地上の建物は「非堅固建物に限る」「木造家屋に限る」という建物の構造・規模等に関する制限(これを「借地条件」といいます)がある場合に、これを変更して「堅固建物」(例えば、鉄筋コンクリート造りの建物)に全面改築する場合に行う手続きです。
本件でも借地条件について契約書で「木造住宅に限る」とある場合に、鉄筋コンクリート造りの建物に全面改築したいという場合には、増改築許可の裁判ではなく、借地条件変更の裁判の手続きを取ることになります。
ただし、この借地条件変更の裁判は、増改築許可の裁判と異なり要件がだいぶ厳しくなり、また、承諾料も更地価格の10%と高くなります。
借地条件変更の裁判については、次回以降にご説明致したいと思います。
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寄稿担当:秋山 亘 弁護士
所属:佐久間・秋山法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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