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このコーナーは、法律問題について、初歩的なご説明をするというものです。
そして、私は、「借地借家問題」について、数回にわたり、相談に回答する形式で解説することになっています。
今回の相談はこちらです。
私は、平成17年7月、アパートの一室を不動産業者から借りました。私は、建物退去時の費用がかからないよう、出来るだけきれいに建物を使ってきました。
しかし、先月、建物を退去しようとしたら、賃貸人から、「賃借人は建物明け渡し時に原状に復旧する義務を負うとの条項が契約書にも明記されている、部屋をリフォームするのに原状回復費用が15万円以上かかるので、敷金15万円は全額返せない」と言われてしまいました。
退去時に多少の費用ならかかるのも納得いくのですが、15万円もかかるとは思いもよりませんでした。
賃貸借契約書で原状回復義務として明記されているとどうにもならないものなのでしょうか。
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建物を明け渡す際に、賃借人は、「原状回復義務」を負います。
この「原状回復義務」とは、借りた建物内にある賃借人の荷物を全て持ち出し、ゴミを捨てて可能な限りの清掃を行うことを意味します。従って、「原状回復義務」とは、借りた建物を借りた当初の状態に戻すことではありません。
建物の壁にシミなどが付いていても、建物使用に伴って通常生じるような「通常損耗」や建物の経年変化により生じる「自然損耗」については、賃借人がその修繕費用を負担する必要はありません。
自然損耗や通常損耗とは、テレビの裏側のテレビ焼け、タンスを置いた床のへこみ跡、たばこによるヤニ(但し、程度の酷い場合やたばこが禁止されている場合には費用負担しなければならない場合もあります)、クロスのシミ・汚れなど、建物を普通に使用していても生じてしまう建物の通常の傷みや汚れのことです。
いわゆるハウスクリーニングは、賃貸人が新しい賃借人への入居を促進するための費用ですので、原状回復義務の対象ではなく、賃借人が負担すべき費用にはなりません。
これらの修繕費用は、賃借人が毎月支払っている賃料の対価に含まれていることから、本来、賃貸人が負担することが原則になっています。
賃借人が原状回復義務として、建物の修繕等の費用を負担しなければならないのは、故意に建物を傷つけた場合、ペット飼育禁止にもかかわらずペットを飼育した為に生じた建物の損耗など、通常の使用形態から逸脱(いつだつ)して誤って建物を傷つけた場合に限られます。
また、このような場合でも、建物の経年変化による損耗部分は、本来、賃借人が負担しなければならないものではないため、賃貸人側が主張する修繕費用の全額を賃借人が負担しなければならないものではなく、その費用のうち一部を賃借人が負担すべきと解するのが合理的でしょう。
これまでの裁判例でも、「賃借人は建物明け渡し時に原状に復旧する義務を負う」などといった契約条項があった事例で、その条項の解釈として、自然損耗・通常損耗分は、上記の契約条項で言う賃借人の原状回復義務には含まれないなどとして、これらのリフォーム費用等を賃借人の負担にはさせることは出来ないと判断されてきました。
したがって、賃貸人としては、賃借人の建物使用方法が特に悪かったことによる損耗(これは証拠により賃貸人側が証明しなければなりません)に対する原状回復費用に限り賃借人に請求できることになります。
従って、本件でも、上記のような裁判例がありますので、交渉をしてみる余地は十分にあるものと思われます。
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寄稿担当:秋山 亘 弁護士
所属:佐久間・秋山法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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