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賃料の自動増額条項

このコーナーは、法律問題について、初歩的なご説明をするというものです。

そして、私は、「借地借家問題」について、数回にわたり、相談に回答する形式で解説することになっています。

今回の相談はこちらです。

Q私がバブル時代に締結した土地の賃貸借契約書には「賃料は3年毎に改定され、改定毎に賃料は20%ずつ増額する」という条項があります。

このような賃料の自動増額条項で賃料を改定していくと、近隣の時代相場に比べてもの凄い高額の賃料となってしまい、とても賃料を払い続けることはできません。

私としては、現在の賃料は、このような自動増額条項によって、近隣相場と比較して高すぎると思うので、むしろ賃料の減額をお願いしたいくらいです。

何とかならないでしょうか。



A1.賃料自動改定特約

賃貸借契約には、賃料が自動的に改定されるという趣旨の特約が定められていることがあります。

 1. 特約のタイプとしては
 2. 物価変動自動改定特約
 3. 定額自動改定特約
 4. 定率自動改定特約
 5. 路線価変動自動改定特約
 6. 固定資産税変動自動改定特約

などが挙げられます。

この点、借地借家法第11条1項(旧借地法第12条)は、土地に対する租税その他の公課の増減、土地の価格の増減、当該地代が近隣類似の土地の地代に比較して不相当となった時など、経済事情の変動があった場合を「要件」に、当事者は将来に向かって地代等の額の増額を請求できると規定し、地代の増額請求権の要件を定めております。

ところで、一方、借地借家法第9条では、借地借家法は強行規定であり、借地権者に不利な内容の特約は無効であると規定しております。

そこで、本件の自動増額条項のように、借地借家法第11条に定める要件を確認せずに当然に地代が増額するという内容の特約は、地代の増額請求ができる場合の要件を定めている借地借家法第11条1項に反し無効ではないかという問題が生じてきます。

なお、上記の問題は、借家の場合にも、家賃の増額請求の要件を定めた借地借家法第32条(旧借家法7条)がありますので、同様に生じます。

2.裁判所の考え方

賃料自動改定特約についての裁判所の考え方はどの様なものでしょうか。

裁判所は、自動改定特約だからといって当然に無効とはせずに、当該特約を個々の事例にあてはめた結果、賃借人に著しく不利益であるという特段の事情の有無によって特約の有効性を判断しています。

この様に特約の効力は「当該賃借人に著しく不利益かどうか」という個々の事情により判断されます。

最高裁判所昭和44年9月25日は「固定資産税変動自動改定特約」について、特約条項としては有効であると認めつつ、「当事者の意思は、契約当時存在した事情と著しく異なる場合にも、その基準によるという意思ではない」として、特約の適用を制限しました。右の裁判例は、「賃料」の相当性を判断する際に、個々の事案において「具体的に考える」という裁判所の基本的姿勢を示したものと思われます。

よって、裁判所は、バブルの時期に定めた基準を機械的に当てはめることはせず、契約で定めた基準を適用して妥当なものについて、自動改訂条項を認めているものと言えるでしょう。

したがって、賃料の自動改訂条項があっても、新賃料が著しく高額となり妥当とは思われないような場合は、貸主と交渉をしてみる必要があるでしょう。

本件でも、バブル期に締結された賃料を更に3年ごとに20%も増額するという特約ですので、元々の賃料を特に安く定めていたというような事情がない限り、自動増額条項に従った賃料増額は認められない可能性が高いでしょう。

3.賃料減額請求の可否

では、賃料の自動増額条項がある場合には、賃借人が賃料を逆に下げて欲しいと請求することは一切出来ないのでしょうか。

この点も、自動増額条項が存在しても、借地借家法11条、32条による賃料減額請求権を一切排除することはできません。仮に、賃借人の借地借家法11条、32条に基づく賃料減額請求を一切認めないという条項があれば、それは無効です。

実際の裁判例でも、賃貸人が自動増額条項に基づいて賃料増額請求をしたのに対し、賃借人が賃料減額請求の反訴をした事例で、賃借人の方の賃料減額請求が一部認容されているものがあります。

本件でも、裁判で減額される見込みまであるかは別として、賃貸人と減額の交渉をしてみる価値は十分にあるでしょう。

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秋山 亘 弁護士 寄稿担当:秋山 亘 弁護士
所属:佐久間・秋山法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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