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少額訴訟制度

このコーナーは、法律問題について、初歩的なご説明をするというものです。
そして、私は、「借地借家問題」について、数回にわたり、相談に回答する形式で解説することになっています。

今回の相談はこちらです。

Q 易迅速な裁判の方法として少額訴訟制度というものがあると聞いたのですが、少額訴訟制度とはどのような裁判手続きなのですか。
賃貸人に預けた敷金が返ってこない場合や賃借人に滞納家賃の請求をしたい場合にも、少額訴訟は利用できるのでしょうか。


A1. 少額訴訟制度の概要

少額訴訟とは、原則として1回の期日で審理を終え、直ちに判決の言渡しがなされるという簡易・迅速な裁判手続きの一種です。
したがって、逆に、争点が多い事件、立証が難しい事件、複雑な事件を審理するのに少額訴訟は向いておりません。
少額訴訟に適した事件は、契約書等の証拠書類が揃っている貸金返還請求訴訟、滞納家賃の支払請求訴訟、敷金返還請求訴訟等であるといえます(なお、上記敷金返還請求訴訟で原状回復費用の控除が問題となっている場合には退去時の部屋の写真等も基礎資料として必要となってくるでしょう)。

A2. 少額訴訟制度の手続・要件

(1) 少額訴訟における請求金額は金60万円以下でなければなりません。なお、ここにいう請求額とは遅延損害金を含まない元本金額を言います。

(2) 当事者は、原則として、第1回の期日までにすべての主張や証拠を裁判所に提出しなければなりません。また、証拠調べは、期日にすぐに取り調べることのできる証拠に限ってすることができます。
したがって、当事者は、裁判期日までにきちんと契約書や領収書などの証拠書類や証人などの準備を整えていなければなりません。

(3) 被告が少額訴訟での裁判に同意しない場合には、通常訴訟に移行します。また、被告が判決に異議を申立てたときも通常訴訟に移行します。また、裁判所は、被告の支払能力・資力等を考慮して、一括払いではなく分割払いの支払を命ずる判決を言い渡すことができますが、原告は、これに対する異議は申立てられません。

(4)少額訴訟の訴訟費用についてですが、訴状に貼る若干の印紙代(例えば請求額30万円の訴訟でも3,000円)と若干の郵便金手代がかかるのみですので、訴訟の提起自体は、低額の費用ですることが可能です。

A3. 少額訴訟に必要な準備

(1) 少額訴訟といっても、訴状の提出や証拠書類の収集・提出は、当事者本人の責任で行う必要があります。それも、原則1回の審理で終る裁判期日までに全ての証拠書類を整理して提出しなければなりませんので、周到な準備が必要なことは言うまでもありません。

(2) 例えば、賃貸人が賃借人に対し滞納家賃30万円の支払を求めて訴訟を提起する場合には、

 ・賃料が月額何円であったか
 ・賃料の支払日は毎月いつになっていたか
 ・賃借人は何月分から何月分までの家賃を滞納しているのか

を特定して主張しなければなりません。
また、証拠書類としては、1,2 を立証するために賃貸借契約書が必要です。

(3) 敷金返還請求訴訟では、賃借人の原状回義務がどこまでかが争点になります。
しかし、判例は、原則として、賃借人の故意・過失による損耗に限り、賃借人の原状回復義務を認めています。
したがって、上記のような賃借人の故意・過失による建物の損耗であることは、基本的には被告である賃貸人側が証拠を揃えて立証する必要があります。
具体的には、入居時の写真、退去時の写真、原状回復費用の明細が書かれた見積書などが証拠になるでしょう。

(4) 訴状の書き方や提出が必要な証拠書類などについては、簡易裁判所の書記官が指導してくれますので、事前に簡易裁判所に赴(おもむ)き相談すると良いでしょう。
また、貸金返還請求訴訟や滞納家賃の支払請求訴訟、敷金の返還請求訴訟などいくつかの定型的な訴訟の場合には、訴状の定型書式が簡易裁判所に置いてありますのでこれを利用すると良いでしょう。
もっとも、裁判所書記官は、公正な第三者的な立場での指導にとどまりますので、訴訟に勝つための実践的な方策の相談については、弁護士に相談されるのがいいでしょう。

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秋山 亘 弁護士 寄稿担当:秋山 亘 弁護士
所属:佐久間・秋山法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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