よくわかる!やさしい法律入門
解決方法
医療過誤の疑いを持ったら、どのような手順で解決していくのかを説明します。
医療過誤の疑いを持ったら、次の手順にしたがって解決していくのが一般的です (もちろん場合によって変わります。詳しくは弁護士に相談してください)。
資料の収集と経過メモの作成
医療過誤の疑いを持ったら、まずは、できる限り資料を収集します。 患者側で入手可能な資料としては、
・ 診断書(カルテ)
・ 死亡診断書
・ 診察券
・ 医師の紹介状
・ 母子手帳
・ 医療費領収証
・ 保険診療報酬請求書(レセプト)の控え
・ 残った薬や投薬袋
・ 医師が患者に説明する際のメモ
・ 患者の日記やメモ
などがあります。 また、記憶の鮮明なうちに「経過メモ」 (詳しくは「経過表ご記入にあたっての注意事項」を参考にしてください) を作成します。
弁護士との面会、相談
手持ち資料や、経過メモを持参して、弁護士に面会、相談をします。
弁護士は依頼者から説明を受けた後、関係のありそうな医学文献を調査して医学的な問題点の発見に努めます (この時点で責任追及が困難であることが明らかになるケースもあります。)
証拠保全手続
弁護士が調査の結果、ある程度医療過誤の疑いを持った場合には、依頼者に対し、「証拠保全手続」をおこなうことをすすめます。 というのも、この時点では判断材料が十分でないため、「証拠保全手続」により、カルテなどを入手し、 医療過誤事件で患者側に協力してくれる医師(「協力医」といいます)ともよく検討したうえで、 最終的な見通しを立てたいと考えるからです。 医療過誤事件において、カルテなどの証拠の重要性は言うまでもありません。 しかし、そのほとんどは患者側の手元にはありません。 また、診療についての記録などがいつまでも保存されているとは限りません。最も重要と思われるカルテでさえ保存期間はたったの5年です。 そこで、医師や病院の管理下にあるカルテなどの重要書類を廃棄、紛失、改ざんなどされる前に何としても確保する必要が生じます。 そこで、これら重要書類を確保するために証拠保全という裁判上の手続きを行い、証拠を患者側の手元に確保することが極めて重要になるのです。
証拠保全で入手した資料の検討
証拠保全により得られた資料(カルテ、レントゲン写真、診療記録、看護記録など)を翻訳します。 そして、協力医のアドバイスを得て問題となっている医療行為について検討し、 医療関係者の過失や因果関係の有無などを判断することになります。
医療機関との交渉
検討の結果、医療機関への責任の追及が可能と判断される場合には、 相手方の医療機関に対して医療過誤についての見解や説明を求める「釈明事項書」などの文書を送付し、 交渉を開始します(この段階で和解が成立して解決する場合もあります)。
裁判
医療機関との交渉の結果、事件解決に至らなかった場合には、裁判所に訴え提起をすることになります。
訴訟は、だいたい1ヶ月に1期日程度のペースでおこなわれ、互いの言い分を主張しあいます。
そして、双方の主張がそろった段階で証拠調べをします。その際には、医師、看護婦、患者、付添人、家族などが法廷で証言することになります。 医師、看護婦などに過失があったのかどうかについては、多くの場合専門家の鑑定をもとに判断されます。
医療過誤訴訟は、専門的な医学の知識を必要とするため、裁判官や弁護士にとっても医師の述べていることが正当なのか不当なのか判断が付きかねるものです。
そこで、当該医療行為を専門家である第三者が検討して過失があったのかなかったのかの意見を述べてもらうことがよくあります。 これを「鑑定」といいます。
以上を経て、審理が終結し、判決が言い渡されます。なお、裁判の途中で和解が成立することもあります。
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