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弁護士法人アディーレ法律事務所代表弁護士の石丸幸人(いしまるゆきと)です。
司法統計によれば、2007年9月までの自己破産申立件数は、前年比88.28パーセントにとどまったそうです。申立件数のピークは2003年で、それ以来、毎年減少傾向を見せてきましたが、このまま推移していけば4年連続で自己破産者が減ることは、ほぼ間違いありません。
とは言え、自己破産申立件数の減少は、景気が回復し、人々の生活に余裕が出て来たことの結果、というわけではありません。景気が回復しているのは、ほんの一部の大企業に過ぎず、国内企業の9割を占める中小企業は、依然として厳しい状況にあります。派遣労働者やネットカフェ難民と呼ばれる人々が増加しているように、多くの労働者は低額賃金で不安定な雇用を強いられているというのが現実です。
では、何故自己破産申立件数が減少したのでしょうか? その主な理由は過払い金返還請求が増加した点にあります。2006年1月に、みなし弁済という例外的に高金利を認める規定の適用を事実上否定した最高裁の判例が出て以来、法改正の議論が活発化したこともあって、各消費者金融への過払い金返還請求が相次ぎました。
過払い金とは、ご存知の通り、払いすぎた利息のことです。利息制限法で定められた利率で計算し直すことで、返還された過払い金を他の借金の返済に充てて借金を整理したり、法定の利息で引き直すと借金自体が既になくなっていたというケースもあります。2007年9月に民事再生手続の申し立てを行った東証一部上場の業者クレディアの例では、過払い金返還請求の権利を持つ人のうち、実際に届け出を行ったのは1パーセント程度と言われています。このように過払い金請求に関してまだ「眠っている」人も多く、今後も過払い金請求件数や金額は増加の一途をたどるでしょう。
しかし、過払い金請求に備えるための予算を、貸金業者がどの程度計上しているかは不明です。「無い袖は振れぬ」ということわざの通り、請求は増えても支払いはいつか頭打ちになるでしょう。また、雇用の不安定に加え、法改正により新規の融資が制限されることにより、多重債務者の増加傾向が今後も継続することは疑いありません。2007年の自己破産申立件数の減少は、過払い金請求の増加に起因した一過性の現象に過ぎず、本当の意味で人々の生活が豊かになるためには、政府が広く国民生活の安定を目指す政策を目指していくことが必要なのです。
自己破産申請数および小規模個人再生・給与所得者等再生申立件数推移は http://www.adire.jp/pressnews.html に掲載してあります。
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寄稿担当:石丸 幸人 弁護士
所属:弁護士法人アディーレ法律事務所
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このコンテンツは寄稿担当弁護士の責任のもと作成されたものです。弁護士ドットコムは内容の正確性、真実性等について責任を負いませんのでご了承下さい。
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