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医学部「入試差別」根絶を 現役医大生、国に1万5000人分の署名提出
会見する筑波大医学学群6年の山本結さん(右)と前島拓矢さん

医学部「入試差別」根絶を 現役医大生、国に1万5000人分の署名提出

東京医科大など複数大学の医学部入試で、女子や多浪の受験生を不利に扱う不正な得点操作があった問題で、危機感を抱く現役医大生グループ(約20人で構成)が「入試差別をなくそう!」と呼びかけ、ネットで署名活動をしている。

2週間ほどで集まった署名は約1万5000人分。メンバーは12月18日、文部科学省に署名を提出。その後に文科省内で会見し、「私たちは力のない学生だが、たとえ小さい声でもおかしいと声をあげなければ永遠に解決しない」と述べ、性別や属性による差別の根絶を求めた。

●「行政として責任ある対応を」

文科省は12月14日に不適切入試が9大学であり、1大学は「その可能性が高い」との最終報告をまとめている。この10大学については大学名を公表したが、他にも「疑惑を招きかねない事案」があることを確認しつつ、大学名は公表していない。

一方、医大生グループは「受験生の立場にたてば、これを含めて全ての調査結果を公表することが必要」と主張。メンバーの筑波大医学学群6年の前島拓矢さん(25)は「一連の入試不正の全体像はまだ見えていない。(文科省は)行政として責任ある対応をしてほしい」と求めた。

また、「救済措置」で追加合格者が出ることに伴い、来年度の入試では東京医大などの定員枠が減らされることになる。

筑波大医学学群6年の山本結さん(24)は、過去の受験生への補償が必要であると同時に、来年度の受験生にしわ寄せがいくのは不合理だと指摘。「何も悪くない受験生はどんな気持ちでいるのか。来年度の受験生がさらに犠牲になることはあってはならない」とした。

●「差別であることに変わりはない」

署名活動に対しては賛同意見が大半を占めているという。一方で、長時間労働が常態化する過酷な医療現場で、女性は出産などでキャリアを中断する場合があることなどを引き合いに、「必要悪だ」「昔からある話で何を今さら言っているんだ」という声も寄せられた。

山本さんは「理由をつければ正当化できる問題なのか。どんな背景であっても差別であることに変わりはない。背景として言われるような長時間労働などはまた別の手段で改善すべき問題だ」と述べた。

文科省がまとめた最終報告によると、「不適切」とされた9大学は東京医大のほか、昭和大、神戸大、日本大、岩手医科大、金沢医科大、福岡大、北里大、順天堂大だった。

聖マリアンナ医大については、「不適切な疑いがある」と文科省は指摘したものの、大学側は反論。見解の相違があるとし、聖マリアンナ医大に対して第三者委員会を設けて判断してもらうよう文科省として指導したという。

(弁護士ドットコムニュース)

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