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岡口裁判官が会見「ありえないことが起きている」「戒告なら法治国家とは言えない」
会見する岡口裁判官

岡口裁判官が会見「ありえないことが起きている」「戒告なら法治国家とは言えない」

ツイッターの投稿内容が問題視され、裁判官の免官・懲戒に関する「分限裁判」にかけられた東京高裁民事部の岡口基一裁判官(52)が9月11日、最高裁で開かれた審問のあと、司法記者クラブで会見を開いた。

岡口裁判官は「適正手続きが踏まれておらず、ありえないことが起きている」「却下なら分かるが、私からしたら防御しようがない漠然とした申立書と薄弱な証拠で(申し立てが認められ)戒告されるようなことがあれば、法治国家と言えない」などと述べた。

仮に懲戒処分となっても、「私は(裁判官を)やめる理由がない」とも答えた。審理終結日は9月28日。

●「今回の表現ごときで処分されたら、他の表現もできなくなる」

問題になっているのは、放置された犬を保護した人物が3カ月後、飼い主から返還を求められた訴訟の控訴審で、東京高裁が返還を認めたというニュースを紹介したツイート。

岡口裁判官は、記事のURLとともに、「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ? 3か月も放置しておきながら…」「裁判の結果は…」などと記載して投稿。これについて、当事者の感情を害したとして、東京高裁の林道晴長官が7月に懲戒を申し立てていた。

争点は、投稿が「品位を辱める行状」に当たるか。代理人の小倉秀夫弁護士は「政治的発言でなくても、岡口裁判官に対する市民の信頼、裁判制度に対する信頼を害するかが問題になる」と説明した。

岡口裁判官は「私のツイッターはロースクール生も見ている。論点が面白いと思って投稿した」という。

当事者が傷ついたことが理由とされているが、岡口裁判官は、申立書にはどのような理由で傷ついたか書いていないとして、「認否や反論ができない。防御の利益が守られない」「ある人が傷ついたからダメと後から言われたら表現行為はできなくなる。傷ついたの理由がないなら、申し立て理由になっていない」などと反論した。

表現の自由との関係では、「線引きしないと怖くて表現できなくなる。たとえば、自分が担当した事件はつぶやいたらダメだと思う。ルールを作らないといけない。しかし、今回の申立書だと、分からない。今回の表現ごときで処分されたら、他の表現もできなくなる」と話した。

大賀浩一弁護士は「傷つけられたことは否定しないが、保護されるほど重大な権利侵害なのか。こんなのがまかり通ったら、一般企業でもツイッターやめろと裁判に持ち込まれる。一般社会にも影響を及ぼす」と主張した。

岡口裁判官は2016年6月にも、東京高裁から厳重注意を受けている。当時、東京高裁長官だった最高裁の戸倉三郎裁判官は、今回の分限裁判から外れているという。このほか、2018年3月にも女子高生殺人事件についてのツイートで遺族感情を傷つけたとして、厳重注意処分を受けている。

今後の発信について、フェイスブックは継続しているといい、分限裁判の情報を公開しているブログは裁判が終わるまでは続けるという。ツイッターのアカウントは凍結されているが、「ツイッター社の不公平な判断の象徴」になるとして、別アカウントは作らないとしている。

【ノーカット動画】岡口基一裁判官、司法記者クラブ会見

https://www.youtube.com/watch?v=aY-M2aisKl4

(弁護士ドットコムニュース)

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