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相次ぐ災害、「火事場泥棒」に懸念の声 西日本豪雨で続出、地元紙「苦難に付け込む卑劣な行為」
深刻な豪雨被害の様子(2018年7月、愛媛県大洲市提供)

相次ぐ災害、「火事場泥棒」に懸念の声 西日本豪雨で続出、地元紙「苦難に付け込む卑劣な行為」

深刻な被害をもたらした西日本豪雨から一転、日本各地は酷暑に襲われ、今度は台風にも悩まされている。7月30日は動きの遅い台風12号による影響で、九州南部や四国では傘が役に立たないエリアがありそうだとも伝えられている。

心配なのは、台風に際して新たな「火事場泥棒」が発生しかねないことだ。火事場泥棒とは、混乱している状態につけこんで盗みなどをすることや人を指す言葉だが、残念ながら、先日の西日本豪雨でも発生。「人として情けない」などとtwitter上でも憤る声が相次いだ。

こうした「人の苦難に付け込む卑劣な行為」(山陽新聞コラム)について忘れないよう、報道をもとに以下にまとめ、改めて注意喚起をしたい。

●狙われた浸水被害で休業中の店舗

愛媛県では7月17日、愛媛県警大洲署が内子町の会社員の男性(30)を建造物侵入容疑で現行犯逮捕した。男性は17日午後10時半ごろ、大洲市内のビデオ販売店に合鍵を使って侵入した疑い。特別警戒中だった捜査員が現行犯逮捕した。店は豪雨による浸水被害を受け、休業していたところだった。男性は「ビデオを盗むつもりだった」と話したという。

岡山県では7月10日、豪雨被害の影響で無人となっていた高梁市のコンビニエンスストアに侵入し、ATMを壊して現金を盗もうとしたとして、22歳の男と19歳の少年2人が、窃盗未遂などの疑いで逮捕されたという。

さらに7月13日には倉敷市の駐車場で車からタイヤを盗もうとしたとして、窃盗未遂容疑で2人の男性が逮捕された。2人は容疑を認め、「タイヤを盗もうと倉敷市真備町に行ったが、人が多くてあきらめた」と供述したと伝えられている。不審がられないようにするためか、2人が使う車のナンバープレートが「倉敷」ナンバーに付け替えられていたという。

このほか、避難所から2日半後に自宅に戻ったら工具箱(重さ約60キロ)がなくなっていたと訴える住民も出た。一方で比較的軽い植木鉢は流されていなかったという。火事場泥棒による被害は、詳細が明らかになっていないだけで、かなり広がっている恐れもある。

山陽新聞の7月12日付コラムには、次の言葉が載った。「こんな時に…という怒りより、またか、という言葉が浮かぶのが悲しい。人の苦難に付け込む卑劣な行為である」。

●今回も飛び交うデマ

また西日本豪雨に関連して、「レスキュー隊のような服を着た窃盗グループが被災地に入っている」との事実に基づかないデマが広がっているとして、警察が注意喚起も呼びかけた。

過去の大規模な災害でもデマは繰り返し流され、2016年の熊本地震では動物園のライオンが逃げ出したというデマをtwitterで流したとして、逮捕者も出た。今回そうした教訓が十分に生かされたとは言えなさそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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