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世田谷・組み体操訴訟和解…後遺症残る生徒「先生を反面教師にして生きていきたい」
和解成立後に記者会見を開いた両親

世田谷・組み体操訴訟和解…後遺症残る生徒「先生を反面教師にして生きていきたい」

東京都世田谷区立の小学校で「組み体操」の練習中にケガをして、後遺症が残った生徒が、世田谷区と元担任を相手取り、損害賠償などをもとめていた訴訟は12月11日、東京地裁で和解が成立した。両親は、和解成立後に記者会見を開いて「すっきりした気持ちでない」と心境を明かした。

●元担任からは謝罪の言葉なく、「これ以上の話し合いは無駄」

和解の内容は、世田谷区が(1)謝罪すること、(2)安全面に配慮した内容や指導方法を徹底させること、(3)損害賠償金1000万円を支払うこと――など。生徒側は、元担任も相手取って提訴していたが、謝罪もなかったため、この日に訴えを取り下げた。両親は「これ以上話し合いを続けることは時間の無駄だと判断した」としている。

訴状などによると、当時小学6年生だった生徒は2014年4月、翌月の運動会に向けて、組み体操の練習をしていたところ、転倒して頭部や背中などを強く打つ事故にあった。その後、めまいや頭痛などの後遺症が残り、一時は車椅子で通学するなどしていた。

この日の和解成立後、生徒の両親が、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。母の定松啓子さんは「和解の話し合いは、書面だけのやりとりだったので、心を通わせたわけでない。和解というと、良い言葉に聞こえるが、お互いがすっきりした気持ちではない」と述べた。担任に対する訴えを取り下げたのも、「来年から高校生となる生徒が、新しいスタートを気持ちよく切れるように」という思いからだという。

生徒本人は現在、中学3年生。症状は少しずつ改善されているが、現在も週1回の頭痛があるという。啓子さんによると、生徒は「これからは、事故に関わった先生たちを反面教師にして生きていきたい。きょうで忘れて、前向きに。悔しいけれど、自分の身体とうまくつきあいながら頑張っていきたい」と話したという。

世田谷区の保坂展人区長は、広報を通じて「お子さんが学校でケガをなされ、その後にお子さんとご家族とともにつらい思いをさせてことに申し訳ないと思っています。早期解決を願い、本日の和解となりました。今後は、学校事故の未然防止および再発防止策に教育委員会とともに取り組んでいきます」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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