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人気ゲーム機の「景品くじ」、露店で大量購入も当たらず…法的にどんな問題がある?
YouTube「Hikaru Channel」より

人気ゲーム機の「景品くじ」、露店で大量購入も当たらず…法的にどんな問題がある?

祭りの露店で、人気のゲーム機を景品とした「くじ」を大量購入してみたところ、1回も「当たりくじ」がでなかった−−。あるユーチューバーが投稿した動画が話題になっている。4月3日公開の動画の再生回数は、4月5日正午現在で580万回を超えている。

動画には、男性ユーチューバーとその仲間が、祭りにやって来て、ニンテンドースイッチやPSVRなど人気ゲーム機を景品としたくじの露店で、くじを大量に買って、「当たりくじ」が出るか検証する様子が映っている。

15万円分(1回300円)のくじを買っても、「当たりくじ」がでないことから、ユーチューバーが問いただしたところ、店員は「もう出とるかもわからない」という説明を繰り返すだけ。ユーチューバーは「みなさん覚えておいてくださいね、当たりないですからね」と言い放っている。

露店のくじで、そもそも「当たりくじ」がない場合や、ほとんど当たる見込みがない場合、法的にどんな問題があるのだろうか。足立敬太弁護士に聞いた。

●詐欺罪にあたるか?

「仮に、『当たりくじ』が存在しないため、景品を渡すような事態が起こりえないことを知りながら、店先に景品を展示し、さも『当たりくじ』が出ればその表示にしたがって、景品を進呈するかのように装い、くじ(空くじ・ハズレ)を販売していた場合、刑法上、詐欺罪(刑法246条1項)にあたります。法定刑は『10年以下の懲役』です。

こうした商売は、祭りを仕切る『反社会的勢力』との関係も指摘されています。露店のくじの販売が、団体の活動として、組織的におこなわれた詐欺に該当する場合というのは、にわかには想定しがたいのですが、この場合、組織犯罪処罰法の組織的詐欺に格上げされます。法定刑は、『1年以上の有期懲役』と重くなります」

足立弁護士はこのように述べる。民法の観点からはどうだろうか。

「民法の観点から検討すると、『当たりくじ』があるものと誤信して、くじを購入したところ、空くじしか入っていなかったということであれば、客は、錯誤無効(民法95条)を主張して、全額の返金を求めることができます」

(訂正)2017年4月6日8時50分

記事中で「仮に、真実の『当たりくじ』があったのだとしても、別の法律に引っかかる可能性があります。たとえば、くじの露店の店先やアミューズメント施設のハコの中に、景品として最新のゲーム機(の箱)などが並べてあるのを見かけますが、景品表示法上、くじの景品は、取引価格の20倍までと定められております。したがって、300円のくじの景品は、6000円までが上限です。300円のくじの場合、たとえば、ニンテンドースイッチ(希望小売価格:2万9980円+税)などの最新のゲーム機が当たることは絶対にありえないと考えたほうがいいと思います」としておりましたが、読者から指摘をいただいて、足立弁護士と検討した結果、法律の解釈に誤りがあることがわかりました。該当部分を削除のうえ、お詫び申し上げます。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

足立 敬太
足立 敬太(あだち けいた)弁護士 あい弁護士法人富良野・凛と法律事務所 旭川OFFICE
北海道・富良野在住。投資被害・消費者事件や農家・農作物関係の事件を中心に複数の分野を取り扱う。「常に相談者・依頼者様の視点に立ち、分かりやすい説明を心がけています」

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