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<五輪エンブレム>佐野氏デザインを選んだ審査委員「少し似たのはまったく偶然」
佐野研二郎氏の原案を示しながら説明する武藤敏郎・組織委員会事務総長(中央)と永井一正氏(右)

<五輪エンブレム>佐野氏デザインを選んだ審査委員「少し似たのはまったく偶然」

アートディレクターの佐野研二郎氏が制作した2020年東京オリンピックの「公式エンブレム」がベルギーの劇場ロゴの「盗作」ではないかと指摘されている問題で、東京五輪組織委員会は8月28日、東京都内で記者説明会を開いた。

この説明会には、佐野氏のデザインを選んだ審査委員代表で、グラフィックデザイナーの永井一正氏が出席した。永井氏は、佐野氏の応募作について、「1964年東京五輪や1972年札幌五輪のエンブレムをリスペクトしたもので、日本らしさというか、インパクトの強さがあった。継承度、展開力が非常にすぐれていた」と振り返った。

公式エンブレムをめぐっては、7月24日の発表後に「盗作疑惑」が浮上。ベルギーの劇場側は、国際オリンピック委員会(IOC)を相手取り、現地の裁判所に訴訟を起こしている。こうした状況を受けて、永井氏は8月下旬、大手メディアの取材に「劇場ロゴと似ていない」「当初案からの修正があった」などと証言して、注目を集めていた。

●「オリジナル性を説明すれば、お互いをリスペクトするようになる」

組織委員会によると、佐野氏のデザインに決定した後、組織委員会の商標調査によって類似する商標がみつかり、IOCのアドバイスを踏まえ、当初案のまま採用することは断念した。武藤敏郎・組織委員会事務総長は「(佐野氏本人に)よりよいかたちに改善してもらって、今年4月に今回決定したデザインの提案を受けた」と述べ、当初案からデザイン修正があった経緯を説明した。

さらに説明会では、佐野氏が応募段階で提出した修正前のデザイン案が示された。7月に大々的に発表されたデザインは「T」と「L」が組み合わさったデザインだが、修正される前のものは、配色が似ているものの、「T」がより強調されていた。

武藤事務総長は「ベルギー劇場のロゴとは、プロセスがまったく違う。オリジナルだと確信している」と強調。「劇場のロゴはシンプルで大変素晴らしいものだ。残念ながら、裁判になっているが、エンブレムに込められた理念を説明して、オリジナル性を説明すれば、お互いをリスペクトするようになる」と訴えた。

質疑応答で、劇場ロゴと似ていることについて見解を求められた永井氏は「少し似たのはまったく偶然だと思う」と答えた。また、盗作疑惑のイメージが浸透していることについては、「すぐれた展開力のあるデザインなので、いろんなものに使われはじめると、国民にも良さがわかっていくと思う」と話した。

(弁護士ドットコムニュース)

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