弁護士ドットコムが選ぶ 2010年版法律ニュース予想番付
弁護士ドットコム・監修弁護士と専属スタッフが、2010年、世間で注目を集めそうな法律ニュースを独自にランキング!
法律関係者の間で「話題に上ること間違いなし!」のホットな法律ニュースや、現在国会に提出されている法案の中から、議論を呼びそうな法律をピックアップ!
弁護士ドットコム特別企画
弁護士ドットコム・監修弁護士と専属スタッフが、2010年、世間で注目を集めそうな法律ニュースを独自にランキング!
法律関係者の間で「話題に上ること間違いなし!」のホットな法律ニュースや、現在国会に提出されている法案の中から、議論を呼びそうな法律をピックアップ!

ネットでアーティストのPVを見ても犯罪者になるかもしれない
2010年1月1日より、改正著作権法が施行されました。この施行により、著作権者の許諾を得ず、違法であることを知りながら、ネット上で違法配信された映像や音楽をダウンロードすることが違法となりました。ダウンロード自体を違法として禁ずることにより、違法なダウンロードを減少させ、音楽・映像の著作権者の権利を守ることを目的としています。
以前より、違法音楽・映像配信サイトを利用した音楽や映像の無料ダウンロードについて、音楽・映像の著作権者から違法性が指摘されていました。しかし、今までは音楽・映像を無断で「配信」することは違法だが、「ダウンロード自体」を禁じる規定ではありませんでした。
今後、違法だと知りながらダウンロードすることは「違法」とはされますが、罰則はありません。それでも違法ダウンロード抑止の効果があるのか、注目が集まります。また動画サイトなどの利用へ影響することが考えられ、インターネットユーザーを中心に話題になっていくでしょう。

日本が外国人に乗っ取られる!?
2009年の特別国会で、民主党が地方レベルでの外国人参政権を認める法案を提出し、話題を集めました。2010年の通常国会では、実際に法案が提出される見込みです。
この法案について、鳩山首相をはじめ、多数の民主党賛成派議員の発言が目立ちます。賛成派の主張としては、「国レベルと異なり、地方レベルで外国人に参政権を認めても、その国政への影響は小さい」「外国人に日本へ興味を持ってもらい、優秀な人材を日本へ集められるよう、外国人へ参政権を認めるべきだ」というものです。
これとは逆に、ネット上では反対派の意見が多数を占めています。反対派の主張として最も多いものは、「外国人に参政権を認めると、日本が外国人によって支配される」というものです。
参政権は政治的意思決定に権利行使者が関与できる重要な権利です。外国人参政権の是非は、国会だけでなく、国民全体で真剣に議論されていくのではないでしょうか。

YouTubeを使った選挙活動も
現在の公職選挙法では、ホームページやブログの更新、掲示板への書き込みなど、選挙期間中は候補者/有権者のインターネット上での選挙活動が禁じられています。
しかし、2009年現在、日本のインターネット人口は9,000万人を超え、総人口普及率では75%にまで達しました。こうしたインターネット人口増加の流れを受け、「インターネット上での選挙活動を認めるべきではないか」と議論がなされています。
2009年衆議院選挙の民主党マニフェスト(政権公約)では、「誹謗中傷の抑制策、『なりすまし』への罰則などを講じつつ、インターネット選挙活動を解禁する」ことが掲載されており、民主党が与党となったことで、法改正に向け本格的に動き出すことになるでしょう。
国会へ法案が提出・可決されれば、候補者がブログやtwitterで不特定多数の有権者に向け選挙運動をすることが可能となります。インターネット選挙運動は、選挙結果に大きな影響があることは間違いありません。しかし、インターネット上の誹謗中傷により、候補者の評判が不当に下落する可能性があることも、また事実です。候補者/有権者を中心に注目される法案ではないでしょうか。

塵も積もれば…100万円以上の請求も
日本マクドナルドの未払い残業代訴訟が、原告の訴えをほぼ認める形で決着したことで、サービス業を中心とする労務管理の見直しに影響を与えることは間違いありません。これに伴い、残業代請求も本格化するであろうと予想されます。残業代割増賃金の増額と併せ、サラリーマンを中心に話題になるのではないでしょうか。
厚生労働省資料や総務省資料によると、労働者一人あたりのサービス残業代の総計は年間で200時間に上ると推計でき、かなり多くの労働者が、会社に対し高額の未払い残業代を請求できることが分かります。
残業代請求には、労働者側が残業の事実を証明する必要があります。請求手続きに関し、個人では分かりづらいことも多いため、残業代請求をお考えの方は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

裕福な家でないと弁護士になれない、という声も
これまでは、司法修習生に対しては、国家公務員一種採用者と同等額の給与が保障されていました。しかし、司法試験合格者の増加に伴い、国の財政的負担が増すことから、2010年11月採用の修習生より、給与制から貸与制へ変更されることになりました。
司法修習とは、司法試験合格後に一定の期間をかけて、法律実務に関する汎用的な知識や技法を身につけることを目的とする、いわば「見習い」期間です。司法試験に受かっても、司法修習を経なければ、法曹(裁判官・検察官・弁護士)にはなれません。
司法試験合格のためには、法科大学院の授業料や予備校の模試受験料など、多額の費用がかかります。それにもかかわらず、司法修習が貸与制となれば、経済的に裕福な家庭に生まれない限り、裁判官や弁護士になれない、ということになりかねません。この点に関連し、一部の有識者から「法曹の業務には社会的弱者の立場を経験し、理解した者でないと適切な判断を下せないものが多い」として、貸与制への変更に疑問の声が上がっています。
昨年、司法へ国民の意見を反映させようと、裁判員制度導入されたばかりの中での、こうした司法修習生への貸与制導入は、相反しているとも見ることができます。裁判員制度の動向と併せて、こうした法曹志望者の経済的負担を減らす制度の構築についても、話題にのぼるのではないでしょうか。
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東
横綱
もらえる残業代がグンとアップ
2010年4月、残業時間の長さに応じて残業代割増率を引き上げる、改正労働基準法が施行されます。
改正前の割増率は、月の残業時間の長さに関わらず、一律25%以上です。労働基準法が改正されることで、残業時間ごとに3段階で設定されるようになります。
[1] 残業時間が月45時間までは25%以上
[2] 45時間?60時間までは25%より引き上げるよう労使で協議
[3] 60時間以上は50%以上
また、労使協定を結べば、有給休暇の取得促進のため、5日以内の有給を時間単位で複数の日に分けて取得できるようになります。具体的には、9:30出勤で18:00が定時とされている場合に、「今日は有給を取得するので、3時間早い15:00に帰ります」といったことが可能になります。
この改正により、企業による長時間労働が抑制され、近年注目さている「ワークライフバランス」の実現が期待されています。サラリーマンを中心に、多くの人にとって関心の高い話題になるのではないでしょうか。
西の横綱[ダウンロード違法化]の解説を読む番付表に戻る
大関
借りたい額のお金が借りられない事態も
2010年6月、改正貸金業法の総量規制(総貸付金額の限度設定)が完全施行されます。これにより、キャッシング等の無担保ローンが年収の1/3までしか借りられなくなるので、多重債務者が減るのではないかと期待されています。
しかし、この改正貸金業法の施行に対しては、「修正か延期をすべきだ」との強い反対意見もあります。2008年のリーマンショック以降、多くの消費者は年収の減少を続けており、消費者金融を利用しなければ生活が困難な場合が考えられる、という現在の厳しい日本経済を受けた社会背景があるためです。現在の改正が完全施行により、お金を借りられなくなる人が多数発生するため、破産をする人の急増も危惧されています。また、銀行によるカードローンは総量規制の対象外とされているため、多重債務者を減らす効果が薄いのではないか、という「法の不備」についても指摘されています。
このように様々な問題点を抱えている改正貸金業法の総量規制ですが、完全施行を前に、施行の是非や国会による再審議の要望など、世間一般の関心も高まるのではないでしょうか。
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関脇
マンションの更新料がいらなくなる
2009年8月27日、賃貸契約の更新の際に更新料を要求するのは消費者契約法違反だとして、貸主から借主へ更新料の返還を命ずる判決が大阪高裁にて下されました。
更新料を取っている住宅は全国に100万戸とも言われており、そうした物件に影響を与えかねないこの判決は、不動産業界に衝撃を与えました。しかし、10月29日には同じ大阪高裁にて、更新料は適法だとする不動産業者に有利な判決が下されるなど、裁判所の見解は未だ一致していません。
2010年には最高裁での判決が予定されています。最高裁判所の判決は高裁判決とは異なり、法律に近い拘束力を持つので、裁判所の統一見解としての拘束力を持ちます。仮に最高裁で更新料違法判決が下されるとなれば、「賃料を上げて、損失を補填するしかない」と話す不動産業者もあり、そうなれば逆に賃借人に不利益が生じることにもなりかねません。
「賃料」という私たちの生活に直接関わる判決であり、最高裁判所の下す結論に注目が集まることは間違いありません。
西の関脇[インターネット選挙活動解禁法案]の解説を読む番付表に戻る
小結
派遣社員が減り、正社員が増える!?
民主党の長妻厚生労働大臣は、製造業への派遣を禁止する法案(労働者派遣法改正法案)を、2010年通常国会に提出すると明言しました。この法案には、派遣を禁止することで、企業による正社員雇用を促進する狙いがあります。
しかし、2008年秋からの景気後退により、経営状態が悪化した企業が増えているため、「正社員雇用により事業を拡大させる」という積極的選択肢より、「従業員を減らし事業を縮小させる」という消極的選択肢を採る企業が多くなるのではないか、という見方もあります。実際に、一部専門家の間では、この法案は狙いと逆の方向に向かい、失業者を増加させ、さらなる不況を招くのではないかと危惧されています。
仕事や生活に関わる法案ということもあり、2010年通常国会へ提出された際には、世間一般にも議論が起こるものと予想されます。
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前頭
300人に1人しか受からない!?
1949年より行われてきた旧司法試験 [※2005年までは司法試験と呼ばれていたが、司法試験法の改正により、新司法試験と併行状態となったため、旧司法試験と改名される] が、実質的に終了します(2011年は、今年の口述試験に不合格となった者のみが受験できる口述試験のみです)。
「現代の科挙」とも呼ばれ、わずか3%前後の合格率で最難関の国家試験とされてきたこの試験ですが、2009年の最終合格率は0.49%となるなど、旧司法試験は終焉へ向かうにつれ、倍率が上がっています。
司法試験委員会は、合格者数の目安について、2008年度は200人程度(結果は144人)、2009年は100人程度(結果は92人)、2010年は前年の合格者数から更に減少させる、と合格者の年次減少を発表しています。これに対し、受験者数は、2008年度が21,994人、2009年が18,611人と減ってはいるものの、法務省の当初想定よりも減少の幅は小さくなっています。2010年は最後の試験であることから、記念受験の増加により、受験者数も増えると予想されます。
難関資格試験の代表であった旧司法試験。新司法試験合格者との比較も踏まえ、2010年度の最終合格率に注目が集まりそうです。
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