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「退職代行ではなく、弁護士介入による権利行使に意義」ブラック企業被害対策弁護団が電話相談
会見した明石弁護士(右)

「退職代行ではなく、弁護士介入による権利行使に意義」ブラック企業被害対策弁護団が電話相談

ブラック企業被害対策弁護団は3月14日、退職妨害や未払い賃金・有給休暇の消化など、自己都合退職をめぐる問題を受け付ける無料ホットラインを開設する。3月11日に都内で弁護士が会見し、認知を広げつつある退職代行業者を念頭に「単に退職するだけでなく、正当に権利行使できるところに弁護士の介入意義がある」とした。

厚生労働省の調査によると、2017年度の民事上の個別労働紛争としては、「自己都合退職 」が12.8%を占める。また、件数としては、2009年度に2万件を下回っていたが、2016・2017年度は4万件前後のペースとなっていて、増加傾向にある。

自己都合退職をめぐるトラブルとして、退職妨害だけでなく、賃金の未払いや有給休暇の消化妨害、「損害賠償請求をする」との脅しなどがあるという。同弁護団は、人手不足が指摘される中、「使用者は代わりの人材を確保しづらくなっていて、退職を妨害することが増えている」と分析する。

会見に臨んだ明石順平弁護士は、「法的には退職届を出せば辞められるが、実際には精神的に高いハードルがある。一般的に、『会社が承諾しないといけない』といった誤解がある」とした。辞めたことによる、会社から労働者側への損害賠償請求については、「代わりの人員を確保していない会社に問題がある。基本的に、(退職による会社への)損害は考えられない」とした。

明石弁護士は、ホットラインの企画理由について「退職代行業者が流行り、非弁行為(弁護士のみに許された行為を、弁護士以外のものが有償で実施する違法行為)なのではという批判もある中、弁護士が座視していてはいけないと考えた」と説明。また、退職代行業者について「意思を伝える使者だから、(法律的に)セーフと解釈しているのだろうが、グレーだと思う」と指摘した。

同弁護団は、「弁護士でないものが、(有償で)意思のメッセンジャーを超えて、相手へ応答すれば非弁行為になる」との見解で、会社側から残業代や有給休暇の消化の法的根拠を問われて、答えるだけでも問題があるとみる。

ホットラインは、すでに退職してしまって不利益を被ったケースや、退職代行業者をめぐるトラブルなども対象。電話番号と受付時間は以下の通り。

東京 03-3507-5201 19時から21時
大阪 06-6361-8624 19時から22時
札幌 011-215-1925 19時から21時

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