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職場のパワハラ法整備「行為そのものを禁止して」 日本労働弁護団と被害者ら集会
パワハラ被害で今年2月に裁判を起こした原告(2018年11月22日、東京都内の連合会館)

職場のパワハラ法整備「行為そのものを禁止して」 日本労働弁護団と被害者ら集会

「職場のハラスメント防止法」を作る必要性を訴える集会が11月22日、東京都内であった。日本労働弁護団が主催。厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で19日、職場におけるパワハラ防止措置について、企業に義務付ける法整備をする方針が示されたが、集会では「防止措置の義務だけでなく行為そのものを禁止する法律を作るべき」との意見が出された。

●措置義務あってもセクハラ根絶せず

職場での嫌がらせやいじめといったパワハラは、セクハラのように企業側に防止措置が義務付けられていなかった。今回の法整備方針について、連合の担当幹部は「ハラスメント法制を大きく展開させる千載一遇のチャンスだと捉えている。いまパワハラについては何もないので、大きな一歩、前進だと思っている」と話した。

一方、10年以上前から「措置義務」があるにもかかわらず、セクハラ問題はなくなっていない。そのため、「措置義務だけでは足りなくて、行為が禁止されている法律があったほうがいい。今回の法律ではまだまだ不足しているのではないかと思う」(新村響子弁護士)との指摘もあった。

●被害者「パワハラのない社会を」

パワハラ被害で裁判を起こした原告も、集会に出席した。原告は、公立福生病院(東京都福生市)に勤務する男性。上司からのパワハラで精神疾患にかかり休職を余儀なくされたとして今年2月、病院の運営元を相手取り損害賠償を求めて提訴した。「はぁ、おめえ何様なんだよ。俺より上司か?」などと、男性を長時間叱責したとされる音声も集会で流された。

男性は、復職をしたものの裁判中であることを理由に、謝罪してもらえていないという。「出社するときに靴を見て、会社の建物を見ることができないような日々が続いた。パワハラのない社会を実現するよう、よろしくお願いします」と語った。

また、労働者(組合)側と使用者が、ハラスメント行為を禁止する協定を実際に結んだ事例も紹介された。東京都江戸川区で老人ホームなどを運営する社会福祉法人で、協定は「法人と組合は、被害者の人格権を侵害し、周囲の労働者の就労環境を害する職場のあらゆるハラスメント行為を禁止し、快適な職場環境を実現する」など4条からなるという。

●「カスハラ」は今回の法整備で除外方向…

集会では最後に、今回示された法整備の方針について「一歩前進」としつつ、「カスタマーハラスメント等の第三者からのハラスメントは除外され、セクハラに関する行為禁止規定の創設についても消極的な方向性にとどまるなど、内容はまったく不十分」との認識を共有した。

そのうえで、企業の措置義務に加えて、ハラスメント行為そのものを禁止する規定やハラスメントのない環境で働く労働者の権利を確認する規定を設けるべきとし、「職場のハラスメント防止法の早期立法を強く求める」という方針を確認した。

(弁護士ドットコムニュース)

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