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更年期障害で病欠したら「嫌がらせ」や「雇い止め」、働く人たちの実態が浮き彫りに
雇い止めにあった体験を語る女性(5月26日、東京都内、弁護士ドットコム撮影)

更年期障害で病欠したら「嫌がらせ」や「雇い止め」、働く人たちの実態が浮き彫りに

ホルモンバランスの変化により、個人差はあるものの、ほてりや頭痛、めまいなどの症状があらわれることがある更年期。労働組合「総合サポートユニオン」がオンライン調査を実施したところ、仕事に支障をきたして、退職に追い込まれてしまう人がいることがわかった。

●「他の更年期障害の人は辞めたよ」

ユニオンは2021年、更年期の労働問題に関して、2つのオンライン調査(ウェブアンケート方式)をおこなった。

1つ目の調査(期間:2021年4月30日から5月29日まで)では、更年期の症状のために、仕事で悩みを抱えたり、労働問題にあったりしたことがある人の割合が37%(285件の回答のうち106件)にのぼることが明らかになった。

また、更年期の症状を経験した人たちの中には、退職に追い込まれたり、嫌がらせを受けたりした人がいることがわかった。自由記述欄には、以下のようなエピソードが並んだ。

「病欠などを理由にやる気がないなどと難癖をつけられ数ヶ月に渡る厳しい退職推奨をうけ挙句に雇い止めにあった(原文ママ)」
「『他の更年期障害の人は辞めたよ(あんたも辞めればいいのに)』と同僚から言われた」
「上司から、症状があるようなら雇い入れなかったと言われた」

2つ目の調査(期間:2021年7月27日から30日まで)では、国や職場に対して、有給休暇や生理休暇を使いやすい職場環境の整備や、更年期症状のときに使える休暇制度の新設・拡充、休んでも解雇や嫌がらせを受けない支援を求める声もあがった。

●治療に励むも、雇い止めされた女性

総合サポートユニオンは5月26日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いた。この中で、実際に「雇い止め」にあった50代女性が登壇して体験を語った。

女性は2018年6月、契約社員としてコールセンターで仕事をはじめた。これまで10回ほど契約を更新(3カ月ごと)してきたという。

ところが、50歳を迎える2020年8月ごろから生理過多、頭痛、めまいなどの症状に悩まされるようになった。起き上がれなかったり、気分が落ち込み、涙が止まらなくなったりした日もあったという。

これらの症状が原因で、女性は遅刻や欠勤をするようになり、病院で「更年期障害」と診断された。契約更新の面談では、婦人科に通院して、治療を続けていることを相談していた。

「面談では『次回の更新面談までには改善するように』と言われました。病院や治療法を変えるなど、積極的に治療に励みましたが、ホルモンバランスのことなので、完全にコントロールすることはできませんでした」(女性)

女性は2021年3月の更新面談で、会社側に「次回の契約更新をしない」と告げられ、翌月に雇い止めされた。現在、ユニオンを通じて雇い止めの撤回を求めて、団体交渉中だという。

●「安心して休める環境を」

ユニオンはこの日、更年期症状や生理中の体調不良で仕事を休んだ場合の不利益取り扱いを法律で禁止することなどを求め、厚生労働省(労働基準局、健康局、雇用環境・均等局)に要請書と2131筆の署名を提出した。

会見で体験を語った女性は、生理過多の症状があったときは「生理休暇」を取っていたという。労働基準法では「生理日の就業が著しく困難な女性」に対して、生理休暇の取得が認められているが、更年期障害について規定する法律はない。

女性は「正社員ではないと、職を失うことにもなりかねない。安心して休める環境が整ってくれるとありがたい」と語った。

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