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ウーバー配達員の労災特別加入「配達員が自腹」 ユニオン、企業に負担求める
記者会見の様子(ユニオン提供)

ウーバー配達員の労災特別加入「配達員が自腹」 ユニオン、企業に負担求める

企業などに雇われている人を対象とした労災保険に、個人事業主が保険料を自己負担して加入する「特別加入制度」。

厚生労働省はウーバー配達員などを特別加入の対象とすることを検討しているが、フードデリバリー「ウーバーイーツ(Uber Eats)」の配達員でつくる「ウーバーイーツユニオン」は5月24日、都内で会見を開いた。

執行委員長の土屋俊明さんは「もし仮に特別加入をしていない配達員が事故を起こしてしまった時、『入っていない方が悪い』と自己責任論に切り替わることが簡単に想像できる」と企業負担による労災保険の適用拡大を求めた。

●「企業側がお金を一円も負担しない」

労災保険は、労働者として事業主に雇用されている人が対象となっており、自営業など労働者以外の人は対象になっていない。ただ、特別加入は労働者でなくても、業務の実態などから、労働者に準じて保護するにふさわしい場合に認められてきた。

具体的に特別加入が認められるのは、(1)中小事業主等、(2)一人親方等、(3)特定作業従事者、(4)海外派遣者の4種だったが、2021年4月1日からは新たに芸能関係業、アニメーション制作業、柔道整復師の業種も特別加入の対象となった。

労働者であれば、使用者側が労働保険料を負担して、必ず加入することになる。一方、特別加入は、労働者以外の人のなかで入りたい人が自分の意思で選択して加入するものだ。保険料も自己負担で、保険料率も業種によって異なる。

川上資人弁護士は「特別加入は企業側がお金を一円も負担しないもので、配達員が自腹でお金を払って任意で加入するかしないか決めるものに過ぎない。日本はギグワーカーやフリーランスが働きやすい社会にしていきたいと言っているが、実際には自己負担、自己責任で解決しようとしている。会社に労災事故を減らそうというインセンティブが働かない」と問題視した。

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