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時給計算が「30分単位」「端数切り捨て」はアウト 秒単位で請求できる場合も
画像はイメージです(saki / PIXTA)

時給計算が「30分単位」「端数切り捨て」はアウト 秒単位で請求できる場合も

「牛丼チェーンでアルバイトをしている中で、少し疑問に思ったことがあります」。アルバイトの時給計算について、島根県の男性(19)から弁護士ドットコムニュースのLINEに情報が寄せられました。

男性は店長から、時給計算が「6分単位」と言われたそうです。男性は「1分単位じゃないの?と少し違和感があります」と話します。

同様の質問は、弁護士ドットコムにも複数寄せられていました。

ある人は、30分単位で時給が発生するアルバイト先で働いており「20分働いた場合、もらう方法は全くないのでしょうか」と質問しています。

「実際の時間でタイムカードを押しても、『15分単位で計算するから端数はすべて切り捨て』と言われました」と話す人もいました。例えば16時40分に退勤を押しても、実際には16時半までの給料しか支払われないというのです。

こうした時給計算の切り捨ては、法的にどう考えられるのでしょうか。大山弘通弁護士 に聞きました。

●時給計算の切り捨ては違法

ーー時給計算の切り捨て問題、法的にはどう考えられますか

このような時給計算の切り捨ては違法です。タイムカードに記載がある時刻については1分単位で請求できます。例えば16時40分に退勤したのに16時半までの給料しか支払われていない場合には、10分の給料が未払いになっているので、その分をアルバイト先に請求できます。

ーー過去の裁判では、どう判断されていますか

このような労働時間の計算について、裁判上は厳しく判断されています。

鉄道会社の駅事務員が始業前と始業後に点呼を義務付けられていたという事案では、この点呼も勤務時間であるとされ、点呼に要する時間80秒につき、裁判所はその分の給料を計算して支払うよう鉄道会社に命じています(東京地裁平成14年2月28日判決)。

この裁判例は、秒単位まで勤務時間が分かったので、秒単位で支払いが命じられたものです。タイムカードは通常分単位であるところ、分単位で勤務時間が分かれば、分単位で給料を支払わなければならないことは当然です。

プロフィール

大山 弘通
大山 弘通(おおやま ひろみつ)弁護士 大山・中島法律事務所
労働者側の労働事件を特に重点的に取り扱っている。労働組合を通じての依頼も、個人からの相談も多い。労働事件は、早期の処理が大事であり、早い段階からの相談が特に望まれる。大阪労働者弁護団に所属。

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