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「窃盗犯」として全店に掲示されたスーパー従業員、裁判で解雇無効になる
記者会見に出席した原告の男性(2019年10月11日、編集部撮影)

「窃盗犯」として全店に掲示されたスーパー従業員、裁判で解雇無効になる

店の商品を会計せずに持ち帰ったことで懲戒解雇されたのは不当だとして、スーパーの従業員が勤務先の会社を訴えていた訴訟は10月10日、横浜地裁(新谷晋司裁判長)で解雇無効などとする判決が言い渡された。従業員は、会計忘れについて、過失だと主張していた。

判決を受けて10月11日、従業員らが厚労記者クラブで記者会見を開いた。

男性が働いていたのは、首都圏を中心にスーパーを展開する「ロピア」。男性は食肉部門の担当で、2018年6月に精肉商品6点(3000円相当)をレジで精算することなく持ち帰った。会社が警察に通報し、のちに懲戒解雇とした。

●男性の故意認めず、「名ばかり管理職」の認定も

判決では、警察の捜査が男性に対する事情聴取だけで終わっていることを指摘。男性が当該商品について同僚に説明し、目の前で加工・梱包をしていたことから、故意の犯罪行為だとすれば大胆にすぎるなどとして、故意があったとは認められないとした。

裁判所は解雇を無効としたうえで、解雇されてから現在までの賃金相当額の支払いを命令。さらに、男性が管理職(管理監督者)扱いで残業代が払われていなかったことについて、実際には権限などがない、いわゆる「名ばかり管理職」だったとして、未払い残業代およそ100万円や付加金も認めている。

男性の代理人を務めた笠置裕亮弁護士は、ほかのスーパーでの過労死事件なども担当している。勤務時間や残業代の扱いがずさんなことは珍しくないとして、「スーパー業界の労務管理を見直してほしい」と訴えた。

●懲戒解雇の張り紙が「名誉毀損」に

また、会社は全店舗に対して、男性を名指しして、窃盗を理由に懲戒解雇したという掲示をしている。裁判所はこの行為が名誉毀損に当たるとして、77万円(うち7万円は弁護士費用)の慰謝料の支払いも命じた。

会見では「(求職活動中に)自分は無実だと説明しても、聞き入れてもらえなかった」「家の近くの店舗にも張り出しがあり、自分の知り合いにも広がってしまった」などと苦悩を語った。

ロピアは「担当者が終日不在」としている。

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