夫のひどい学歴詐称が発覚したので離婚できますかーー。こうした相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
肝心の「ひどい学歴詐称」の詳細は語られなかったものの、結婚して20年ほど経ってからわかったこともあり、相談者にとっては離婚を考えるほどの衝撃の事実でした。希望どおり、離婚は認められるでしょうか。福田慎也弁護士に聞きました。
●学歴詐称だけを理由とするのは厳しい
ーー離婚が認められるための「婚姻を継続し難い重大な事由」に今回のケースは該当するでしょうか
「学歴詐称それのみで、婚姻を継続し難い重大な事由が認められる可能性は、非常に低いと考えられます。
学歴を『婚姻継続の重要な要素』とする価値観は、一般的ではないからです。裁判で争う場合、学歴詐称に加えて、夫婦関係破綻を裏付ける有力な事情を主張する必要があります」
ーーそうすると、例えばいったん別居して婚姻状態を事実上破たんさせてから離婚を目指すなど、だまされた側は対策を練らないといけないのですね
「そうですね。別居することは一つの方策になります。そのほか、離婚原因を認める方向に考慮される事情があれば、証拠として確保することも有力です。
離婚を検討される夫婦にありがちな事情としては、浮気、DV、モラハラ発言、親族との不和、浪費等があります。証拠の収集や要否の判断は素人では難しいものもあり、弁護士に相談されたほうが良いと思います」
ーー今回のケースでは結婚20年ほどで発覚し離婚したいということですが、婚姻期間が長くなると離婚が認められにくいといったことはあるでしょうか
「はい。婚姻期間が長いほど、夫婦円満を肯定する事情が多くなる傾向があり、結果的に離婚請求が通り難くなる可能性はあります。
また、婚姻期間が長期に及ぶほど、学歴という過去の事情の重みも薄れると考えられ、よって、婚姻期間が長期のほうが学歴詐称を理由として主張しても離婚請求は通りにくいと考えられます」