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熟年だけでない「夫源病」の実態 夫が家にいるだけで「気が狂いそう」「動悸がヤバい」
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

熟年だけでない「夫源病」の実態 夫が家にいるだけで「気が狂いそう」「動悸がヤバい」

タレントの上沼恵美子さんが「夫源病」を理由に夫と別居状態にあると報じられ、話題になりました。

「夫源病」は、夫が原因のストレスで体調を崩すこと。イライラしたり、強い不安感やゆううつ感を抱いたりするなどの精神的な症状や、吐き気、胃の不快感、頭痛、冷や汗、食欲不振や不眠などの身体的な症状を引き起こすそうです。また、重症化すると、うつ病などに発展したり、高血圧や胃潰瘍になることもあるといいます。

夫の定年退職を契機に増えると言われてきましたが、まだ若い子育て中の女性たちも悩まされることがあるようです。子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板にも「このイライラ、憂鬱感は夫のせい? 『主人在宅ストレス症候群』とは」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2944212)と題したスレッドを始め、夫源病に悩む女性たちの相談や不満が相次いでいます。

●夫源病に苦しむ妻たち

このスレッドには、「土日と長期休暇が本当に憂鬱。旦那の休暇の次の週は大抵体調崩す」「うちも土日だけでも憂うつ。平日も、いつも22時くらいに帰ってくるのに、たまに20時くらいに帰ってくるとほんと気分落ちる」「うちは旦那の休みが多いから気が狂いそうだよ。土日だけが休みの人が羨ましいわ。平日の昼間に家に居られたらストレスでしかない」などの声が、赤裸々に綴られていました。

また、夫婦で長時間を一緒にすごす年末年始に向けてでしょうか。「夫源病の方!もうすぐ年末年始ですね」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=2950227)といったスレッドも。「憂鬱でしかありません。6日間も旦那が家で居るとか苦痛すぎる」「今から動悸がヤバいですもん」「2年前蕁麻疹ができたときあったわ」などの声があがっています。

●離婚を考える人も

これらのスレッドで目立ったのが、「夫と離婚したい」という声でした。

例えば、「去年はついに体調くずしたから、年末になると、どうやって離婚しようか真剣に考える」「定年になったらどうなるのか考えると鬱になる」「子供が、成人したら離婚したい。老後に一緒にいたくないかも。今から貯金してる」「熟年離婚まっしぐら」などと、夫の定年退職を見据えて離婚を考える人もいました。

●「夫源病」だけでなく「長期間の別居」なども必要

夫源病を理由とした離婚は認められるのでしょうか。離婚問題に詳しい濵門俊也弁護士は「それだけでは認められません」と話します。

何故なのでしょうか。「もちろん夫が離婚に応じてくれれば離婚はできます。しかし協議離婚が成立しなければ、調停、裁判へと進みます。その場合、民法770条1項に定められた離婚理由に該当する必要があります。『夫源病』の場合、考えられるとすれば、民法770条1項5号が定める『婚姻を継続し難い重大な事由』に該当するかどうかでしょう」と濵門弁護士は指摘します。

「離婚理由としてよくあげられる『夫婦間の価値観の違い』や『性格の不一致』は、裁判ではこの『婚姻を継続し難い重大な事由』に該当するかどうかで争われるのですが、夫源病も同様ですね」

では離婚は認められるのでしょうかと聞いてみると「夫源病のみでは、該当しないでしょう。別居を長期間するなど、客観的にみて婚姻関係が破綻している事情等が必要となります」とのことでした。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

濵門 俊也
濵門 俊也(はまかど としや)弁護士 東京新生法律事務所
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。

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