不倫の慰謝料請求として、相手女性の夫から5300万円の高額請求をされたが、払わないといけないのかーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような男性からの相談が寄せられた。
請求された5300万円の内訳は、精神的損害が1000万、出産費用として300万円、養育費として4000万円とのこと。相手側は妻が双子を出産したと主張しているようだが、相談者は子どもを認知していない。また、「裁判にしたら仕事を失うぞ」「徹底的に潰す」と脅され、相談者は怖がっている。
もし、相談者の子どもだったとしたら、不倫の慰謝料や養育費として、このような高額な請求が裁判で認められることはあるのか。高橋善由記弁護士に聞いた。
●「裁判では300万円程度が上限になることが多い」
「結論から言えば、相手側からの請求については、金額が高すぎますし、請求の根拠が乏しいため、すぐに応じる必要はありません」
仮に裁判になった場合、慰謝料はどのくらいになるのだろうか。
「裁判所で認められる不倫慰謝料の金額は、ケースにもよりますが、300万円程度が上限となることが多いです。相談のケースのような1000万円が裁判で認められることはあまりありません。
出産費用については、300万円の請求とのことです。しかし通常は、そこまでの金額はかからないのではないでしょうか。300万円の内訳が明らかにならない限り、相手の言い値で支払う義務はありません」
養育費として、4000万円も請求されているそうだ。
「仮に今後、認知をして、養育費を支払うとしても、通常、養育費は毎月支払っていくものです。養育費の金額も、養育費算定表などに基づき、双方の年収を勘案して定めることが多いので、4000万円という金額の請求に直ちに応じる必要があるわけではありません」
●脅迫罪に該当する可能性
仮に今回のようなケースで、相手の脅しに屈服して裁判前に合意してしまった場合、契約は成立してしまうのか。
「裁判の前に、お互いが納得すれば、金額が高額でも合意が成立するのが原則ではあります。しかし、相手方の窮迫・無経験等に乗じて、著しく過当な利益を得る行為(暴利行為)と判断された場合には、公の秩序や善良の風俗に反するものとして民法により無効になることもあり得ます」
なお今回、相手側の主張には問題がないのか。
「相手の配偶者の発言ですが、不穏当なものであり、脅迫罪に該当する可能性もあります。ただ、実際に捜査機関が動いて、罪に問われるかどうかは、発言の状況等にもよることになります」