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4人の子の養育費が「毎月11万円」そんな男性が再婚したら「養育費」を減額できる?
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4人の子の養育費が「毎月11万円」そんな男性が再婚したら「養育費」を減額できる?

「夫が、前妻との間にもうけた4人の子供に、毎月11万円の養育費を支払っているんですが、減額できないでしょうか」。バツイチの男性と結婚したという女性から、こんな相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーによせられた。

相談者の夫は、月収が30〜33万円ほど。養育費が11万ということは、その3分の1にあたる計算だ。残りの月収から、家賃や車のローン、生命保険、駐車場代、光熱費、食費などを支払っているため、家計は火の車なのだという。また、相談者の女性とこの男性の間に生まれた子どもは、まだ0歳と小さいため、相談者自身は働けないそうだ。

一方の前妻は、実家暮らしで、アルバイトも始めたため、相談者よりも余裕のある暮らしをしているように見える。

このような状況の場合、男性が前妻に支払う「養育費」の金額を減らすことはできないのか。一度、養育費を決めたら、あとで変更することは難しいのだろうか。離婚問題にくわしい堀井亜生弁護士にきいた。

●「事情変更」が生じたら、養育費の減額は可能

「一度決めた養育費だったとしても、金額を決めた当時に予測できなかった事情変更が生じた場合には、養育費の減額が可能です」

そもそも養育費の金額は、どのように決まるのだろうか。

「養育費は、権利者(養育費をもらう側)と義務者(支払う側)の収入、子どもの数・年齢をベースにして決まります。一口に『収入』といっても、給与所得者か自営か、また無職でも『稼働可能性」があるか(働くことができるかどうか)という点も考慮されます。

また、子どもの通う学校が公立なのか私立なのかといった点や、親の学歴についても、養育費算定の要素になります」

●扶養家族の増加や収入の増減があった場合は?

では、養育費の減額が認められる「事情変更」とは、どのようなケースなのだろうか。

「たとえば、養育費を払うべき義務者が再婚して扶養家族が増加したり、双方の収入の増減があった場合です。また、養育費をもらう権利者が再婚して、その再婚相手と子どもの養子縁組をするといった事情がある場合には、減額できる可能性があります。

相談者のケースでは、夫婦の離婚後、元夫の再婚によって元夫の扶養する家族が増え、その一方で、元妻の収入が増えたという『事情変更』がありそうです。

このような場合は、新たな事実をもとに、養育費を算定しなおして、減額することが可能です。当事者の間で合意ができない場合は、裁判所で養育費の『減額調停』を申し立てることになります。最初の養育費を調停や裁判で決めたり、公正証書を作成した場合であっても、減額調停を起こせます」

最後に、堀井弁護士は相談者のみならず、養育費について悩む人たちに次のように語った。

「当事務所にも、双方の再婚や収入の増減、再婚後の出産により養育費を決めなおしたいという方が多く相談にいらっしゃいます。養育費は計算方法が複雑なうえ、双方の生活がかかっているため、当事者同士で減額の話し合いをすることは難しくなります。

弁護士に相談すれば、減額の可否の判断や、減額後の養育費金額の算定ができますので、事情変更がある場合は、すぐにご相談ください」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

堀井 亜生
堀井 亜生(ほりい あおい)弁護士 弁護士法人フラクタル法律事務所
第一東京弁護士会所属 「ホンマでっかTV!?」の法律評論家としてレギュラー出演。その他にも「とくダネ!」「ノンストップ!」などメディアに多数出演。著書に「フラクタル法律事務所の離婚カウンセリング~答えが出るノート~」がある。

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