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妻の作った「手料理」食べずにゴミ箱に捨てる夫・・・「精神的DV」ではないか?
せっかく作った料理が捨てられるのはショックだ

妻の作った「手料理」食べずにゴミ箱に捨てる夫・・・「精神的DV」ではないか?

妻の作った手料理を、夫が何も言わずにゴミ箱に捨てる――。ある老夫婦の家族だという人から「こんな行為は精神的DVにあたるのではないか」という質問が、弁護士ドットコムの法律相談にあった。

相談者によると、妻は仕事の関係で単身赴任のような生活をしており、年に数回だけ、夫の暮らす家に戻ってくるのだという。その際、妻は必ず料理を作るのだが、夫はこれをちらっと見ただけで、そのまま料理をゴミ箱に捨ててしまうのだそうだ。

にわかに信じがたい光景だが、ときには鍋を汁ごとゴミ箱に捨ててしまったこともあるという。これまで何度もそういう目にあった妻は黙って耐えてきたが、ついに我慢も限界にきているらしい。

相談者は「これは精神的DVにあたるのでしょうか」とたずねているが、どうなのだろうか? また、もし妻が「もうこんな夫とは離婚したい!」と言ったら、認められるのだろうか? 離婚問題にくわしい長瀬佑志弁護士に聞いた。

●「精神的DV」にあたる可能性がある

「ドメスティック・バイオレンス(DV)は、身体的DVや性的DV、精神的DV等に分類されます。このうち精神的DVは、『心無い言動等により、相手の心を傷つけるもの』をいいます。

夫が妻の作った手料理を何も言わずにゴミ箱に捨てるということは、夫の態度や、夫婦のこれまでの関係等によっては、精神的DVにあたる可能性があります」

長瀬弁護士はこのように説明する。では、妻は、手料理を捨ててしまう夫と離婚できるのか?

「一般的に、妻が夫と離婚したいと考えた場合、話し合いや調停で離婚が決まらなければ、裁判で、離婚を請求することになります。

裁判で離婚が認められるのは、(1)不貞(2)悪意の遺棄(3)3年以上の生死不明(4)回復の見込みのない精神病(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項各号)がある場合、と定められています」

今回のケースは離婚の要件を満たすのだろうか?

「ご相談のケースでは、(5)の『その他婚姻を継続し難い重大な事由』があるかどうかが問題となります。

夫が妻の手料理を捨てることが『精神的DV』にあたる等の事情があれば、『その他婚姻を継続し難い重大な事由』があり、離婚が認められます。

ただし、妻が浮気をしていたなど、婚姻関係の破綻について妻に落ち度がある場合、妻からの離婚請求が認められないこともありますので、注意が必要です」

長瀬弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

長瀬 佑志
長瀬 佑志(ながせ ゆうし)弁護士 弁護士法人長瀬総合法律事務所
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか

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