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AV会社の社長に対する「名誉毀損」で賠償命令、訴えられた伊藤弁護士「血の通った判決ではない」上告の方針
東京高裁が入る建物前(2020年10月28日/弁護士ドットコム撮影)

AV会社の社長に対する「名誉毀損」で賠償命令、訴えられた伊藤弁護士「血の通った判決ではない」上告の方針

淫行勧誘罪の疑いで逮捕されて、のちに不起訴になったアダルトビデオ(AV)制作会社社長の男性が、ツイッターで名誉を傷つけられたとして、伊藤和子弁護士に損害賠償などをもとめた裁判。

その控訴審で、東京高裁(八木一洋裁判長)は10月28日、伊藤弁護士に5万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を変更して、賠償額を20万円に増額する判決を下した。伊藤弁護士側は判決を不服として、上告する方針。

●男性は不起訴処分となっていた

判決などによると、男性は2018年1月、AVの出演経験がない女性を勧誘して、無理やり出演させたなどとして、淫行勧誘罪で逮捕されて、新聞・テレビで報道された。この3日後、AV出演強要問題に取り組む伊藤弁護士はツイッターで次のように投稿した。

「逮捕されて制作会社社長が必死に隠しているシーンを見て思ったこと。

嫌がる女性たちに出演強要し、顔や体、最も知られたくない屈辱的なことを晒させて拡散しズタズタに傷つけて、自分たちは陰に隠れて巨額の利益を得る。

そんな鬼畜のような人たちはみんな顔を晒して責任を取ってほしいと思う」

男性は同年3月、不起訴処分となった。その後、ツイッターの投稿によって、(1)社会的評価を低下させられた(2)名誉感情を害されたとして、伊藤弁護士を相手取り、損害賠償500万円と謝罪広告の掲載をもとめて提訴した。

●伊藤弁護士「残念としか言いようがない」原告代理人「我々の主張が認められてホッとした」

伊藤弁護士側は「特定の個人について述べたものではない」と反論したが、一審・東京地裁は昨年11月、「一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、ツイッターの投稿は、原告について述べたものと認められる」と判断。慰謝料5万円の支払いを命じた。

それぞれが判決を不服として、控訴していた。

東京高裁の八木裁判長は判決で、伊藤弁護士側の主張を退けたうえで、「投稿がAV業界の関係者の間でもその活動が知られていた弁護士によりされたものであること、投稿の記載内容、投稿の記載期間など、諸般の事情を考慮して」として、20万円に増額する判決を下した。

原告男性の代理人をつとめた高野隆弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に「われわれの主張が認められたのでホッとしている。(慰謝料の)認容額が4倍に増えたのは、非常に冷静で、公正な判決だった。上告については検討するが、このような判決が確定することを望んでいる」とコメントした。

伊藤弁護士は「こちらの主張が認められず、残念としか言いようがない。血の通った判決ではない。私がやってきた活動が否定されるわけではないので、上告して、最高裁に自分の言い分を伝えたい」と述べた。

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