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「わいせつ教員に免許を再交付しないで」ネット署名5万筆、文科省に再発防止策求める
文科省に署名などを提出した「全国学校ハラスメント被害者連絡会」と「子どもの権利を守る会」(2020年9月28日、文科省、弁護士ドットコムニュース撮影)

「わいせつ教員に免許を再交付しないで」ネット署名5万筆、文科省に再発防止策求める

教師による子どもへの性暴力が社会問題化する中、文科省では、わいせつ行為で教職員免許を失っても3年たてば再取得が可能な現在の教員職員免許法を改正し、期間を5年とする規制強化を検討している。

これに対し、ネットや学校での性暴力防止に取り組んでいる団体からは反対の声が上がっている。「全国学校ハラスメント被害者連絡会」と「子どもの権利を守る会」が9月、「わいせつ教員に教員免許の再交付はしないで」というネット署名を呼びかけたところ、約5万4000筆が集まった。

両連絡会は9月28日、これらの署名とともに、性犯罪の再犯率が高いことなどを理由に、子どもに対するわいせつの前歴がある人への教員免許の再交付はしないよう陳情書を文科省に提出。また、学校に防犯カメラを設置することなども要望した。

●わいせつで処分されても別の自治体で再び事件

両連絡会はこの日、文科省記者クラブで会見。ネット署名を行った理由について、両連絡会共同代表の郡司真子さんはこう語った。

「教員免許の再取得の規制が3年から5年になったという報道があり、これはよくないと思い、教員のわいせつ行為などに対して裁判を起こしている保護者が中心となって、ネット署名を呼びかけました。1週間で5万筆が集まり、わいせつ行為をしたり、子どもに対して性的欲求を持つ人が教壇に立つことは許せないという人が多いと思いました」

実際、わいせつ事件を起こした教員が別の学校で繰り返すケースがあるという。同じく共同代表の大竹宏美さんは、「ある自治体でわいせつ行為をして、停職処分になって依願退職し、他の自治体で教員として働いて、勤務校の子どもに性暴力を行った事例はたくさんあります。子どもたちを守るために、弁護士や医師の欠格事由のように、わいせつ事件を起こした教員には二度と、教員免許を交付しないという法律を望みます」と話す。

●わいせつ教員は過去最多、それでも「氷山の一角」

わいせつ行為で処分された教職員は2018年度に過去最多の282人となった。しかし、両連絡会によると、「氷山の一角」という。

郡司さんは、「教員によるわいせつ行為は、表沙汰になることが少なく、声も上げられない子どもが多いです。声を上げたとしても『嘘をついている』と言われたり、学校の中でもみ消されてしまう。今、学校で苦しんでいる子ともたちを救う力になるかもしれないと思って声を上げました。現状を打開する第一歩としたいです」と話す。

そこで、両連絡会は、「地方自治体を通さず、直接子どもと保護者へアンケート調査実施可能なシステムの構築」も求めている。会見に参加した教育評論家、武田さち子さんは、地方自治体の教育委員会や学校の問題点をこう指摘した。

「わいせつ行為をした教師の数に驚かれると思いますが、氷山の一角。教師本人が否定したら、学校は認めません。学校の中で先生に触られたと訴えても、周囲の大人が助けるどころか、何もなかったことにしてしまう。裁判になるケースもありますが、まずは裁判を起こさずに済むような仕組みづくりを求めたいです」

両連絡会では、引き続きネットで署名を募るほか、国会の文教委員会などにもはたらきかけをしていくという。

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