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N国市議に勝訴したライター「スラップ訴訟は民主主義をぶっ壊す」
選挙ウォッチャーちだい氏(2019年9月24日、編集部撮影、司法記者クラブ)

N国市議に勝訴したライター「スラップ訴訟は民主主義をぶっ壊す」

全国の選挙を取材している選挙ウォッチャーちだい氏(41)が9月24日、NHKから国民を守る党(N国)所属の立川市議との裁判に勝訴したことを受け、記者会見を開いた。

ちだい氏は、ネット記事の記述が名誉毀損にあたるとして、立川市議の久保田学氏から200万円を求める裁判を起こされたが、言論活動の萎縮をねらった「スラップ訴訟」だとして反訴していた。

千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判長)で9月19日にあった判決は、久保田氏の請求を棄却。さらに提訴自体が不法行為になるとして久保田氏に約78万5000円の支払いを命じた。

●アダルトグッズなどの送りつけ被害も

ちだい氏の自宅には、N国とのトラブルの過程で何者かからアダルトグッズや果物などが代引きで送られてくるようになり、大学や専門学校などの案内資料も毎日のように届いているという。

ちだい氏は、裁判について「弁護士に依頼することになり、経済的負担が大きかった」。裁判を起こすことだけでなく、大人数での嫌がらせなども問題視し、「議論ができなくなってしまう。民主主義を損ねる行為だ」と警鐘を鳴らした。

控訴するかどうかについて、久保田氏に電話取材したところ「お答えする言葉を持ち合わせておりません」との回答があり、「忙しいのでいいですか」と電話は切られた。ちだい氏側は仮に控訴された場合、「慰謝料の額を不服として、こちらも控訴する」としている。

なお、ちだい氏は同じ記事の別の記述についても、N国と立花孝志党首から名誉毀損で裁判を起こされており、係争中だ。

●N国・立花党首「スラップ訴訟」と動画で発言

ちだい氏はN国の立花党首が当選した、2017年11月の東京都葛飾区議選から本格的にN国の動向を取材しはじめた。

判決によると2018年6月、久保田氏が立川市議選に立候補したことについて、ネットメディアに「立川市に居住実態がほとんどない」とする記事を書いたところ、久保田氏から名誉毀損で訴えられていた。

裁判で久保田氏は代理人をつけず、居住実態を示すものとして住民票しか提出しなかった。選挙前に配信した自身の動画の中でも立川市に住んでいないかのような発言をしていたことなどもあり、裁判所は名誉毀損を認めなかった(真実性の判断はせず、真実相当性を認めた)。

この点について、ちだいさんの代理人・馬奈木厳太郎弁護士は「たとえば、公共料金の領収書など、格別の負担もなく証明できるのに、証拠を出さなかった」と指摘した。

また、久保田氏が2019年5月12日に配信した動画の中で、立花党首が今回の裁判について次のように発言していたことなどを踏まえ、裁判所は久保田氏による提訴自体が不法行為を構成すると判断している。

「この裁判は、そもそも勝って、ちだい君からお金を貰いにいくためにやった裁判じゃなくて、いわゆるスラップ訴訟、スラップっていうのは、裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判の事をスラップ訴訟と言うんですよ」(判決文ママ)

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