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「検察庁法改正案は廃案に!」弁護士3000人が賛同、SNSなどでアピール「どんどん声をあげて」と呼びかけ
海渡雄一弁護士(2020年6月9日、編集部はZoomで参加した)

「検察庁法改正案は廃案に!」弁護士3000人が賛同、SNSなどでアピール「どんどん声をあげて」と呼びかけ

検察官の勤務延長制度が盛り込まれた「検察庁法改正案」に反対する弁護士らが6月9日、記者会見を開いた。同法案は今国会での成立は見送られたものの、継続審議の方向となっている。

会見した「法の支配の危機を憂う弁護士の会」は、6月9日から15日までの1週間を「検察庁法改正案廃案アピールラリー」とし、引き続き弁護士によるアピールを続けるという。

同会の事務局長を務める島田広弁護士は「弁護士だけではなく、弁護士以外の市民にも『検察庁法改正案は廃案に!』とどんどん声を上げていただきたい。廃案(勤務延長等の特例措置を削除すること)を勝ち取っていきましょう」と呼びかけた。

●「『検察庁法改正案は廃案に!』声を上げて」

同会は4月24日からホームページ等で反対する弁護士の声を募集。6月9日(10時時点)における呼びかけ・賛同人の数は3000人となった(5月8日12:31時点の呼びかけ・賛同人数は合計1500人)。

賛同人からは、次のようなコメントが寄せられている。

「政府が検察官の人事権を握ることにより、検察官が政府の犯罪を検挙することができなくなる。政府がみなさまの権利を侵害しても、誰も捕まえることができなくなる。逆に検察官は政府にとって目障りな人を逮捕して起訴するようになるであろう」(山下裕平弁護士)

「検察官の人事に政権の不当な影響が及ぶことには強く反対します。検察の独立性、中立性は権力の暴走の抑止に不可欠なものです」(稲田知江子弁護士)

「私は昨年11月に台湾最高検の検事総長と対談しましたが、台湾の検事は『司法官』であり政治からも警察権力からも独立して、客観義務・真実義務を果たすことに誇りをもっています。日本との彼我の差に愕然としましたが、今回の改悪はさらに検察官の準司法性、『公益の代表者』性を失わせるもので、断固反対です。(鴨志田祐美弁護士)

「参加することから民主主義は始まります。日本の民主主義を守るため皆さんご参加ください」(石川賢治弁護士)

弁護士は「登録フォーム」から登録が可能。同会のホームページ(https://ruleoflawcrisis.myportfolio.com/)によると、アピールについては「SNS、ブログ、新聞への投稿、議員への電話、FAX等、方法は自由」としている。

●同法案の廃案等を求める要請をおこなう

検察庁法改正案は、国家公務員の定年年齢を60歳から65歳に段階的に引き上げる「国家公務員法」の改正案とともに国会に提出された。

同法案は、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げるほか、63歳の段階で「役職定年制」が適用されるというもの。

問題視されているのは、内閣あるいは法務大臣が必要と判断した場合は定年延長ができるとされている点だ。検察人事における政府の影響力が強くなることが指摘されている。

呼びかけ人に名を連ねる元日弁連事務総長の海渡雄一弁護士は、今後の課題として、
(1)定年延長や役職定年の例外措置を盛り込んだ部分を削った状態にし、公務員の定年の引き上げそのものは認める形(野党修正案に戻した状態)で成立させること、
(2)黒川検事長に対する定年延長は違法なものだったことを確認し、撤回させること、
(3)定年延長がおこなわれた不自然な経過の全容を明らかにすること
を挙げた。

島田弁護士によると、「法の支配の危機を憂う弁護士の会」は6月8日、衆議院に議席をもつ全政党に同法案の廃案等を求める要請をおこなったという。

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