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「自分の真実を信じて」勝訴した伊藤詩織さん、性暴力被害者に今伝えたいこと
会見を開いた伊藤さん(2019年12月18日、東京都、弁護士ドットコム撮影)

「自分の真実を信じて」勝訴した伊藤詩織さん、性暴力被害者に今伝えたいこと

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんから性暴力被害にあったという訴えに対し、12月18日の東京地裁判決は、山口さんが合意のないまま性行為に及んだと認定した。

東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた伊藤さんは、性暴力被害者に伝えたいことを尋ねられ、「自分の真実を信じてほしい。今日まで生き延びてくれてありがとうと伝えたい」とメッセージを送った。

そして「これが終わりではない。この過程を踏まえて、できることがたくさんある」と話し、来年以降の刑法見直しに期待した。

●「性被害者を勇気付ける判決内容」

伊藤さんは判決について「民事訴訟は素晴らしい結果になったと思う」と話し、「刑事事件では、分からなかったことや今まで公にできなかったことを皆さんに見ていただけた。このプロセスが民事訴訟をやる中で、大きく得られたものではないかと思います」と振り返った。

山口敬之さんについて尋ねられると、伊藤さんは「性暴力はパワーがアンバランスなところでおこる」と指摘。「彼自身も色々と自分に向き合っていただいて、今後こうしたことができないように構造的な問題などに一緒に向き合って、解決できるようになったら嬉しいなと思います」とメッセージを送った。

代理人の西廣陽子弁護士は、判決について「被害後の詩織さんの行動などから、信用性が評価されたことが大きい」と述べた。慰謝料300万円については「現在の裁判所の判断としては、相当な金額」としつつ「より評価されることが望ましい」とした。

また、記者会見などで名誉を毀損されたとする山口さんの反訴について、「公共性および公益目的がある」と判断されたことには「性被害者にとって、非常に勇気付ける事実になるんじゃないか」と述べた。

伊藤さんも、話が真実でも損害賠償が認められるかもしれず「緊張しながら見ていた部分」と振り返り、「自分で発信する道しかなかった。こうした評価を得られたことは、書き手としても大変勇気付けられることでした」と話した。

●事件の経過

2015年4月3日 伊藤さんが山口さんと会い、性的暴行を受けた日
2015年8月 警視庁が準強姦罪(当時)の容疑で山口氏を書類送検
2016年7月 山口さんが嫌疑不十分のため不起訴処分となる

2017年5月10日 週刊新潮の報道(5月18日号)
2017年5月10日 山口さんが自身のFacebookで週刊新潮の報道に反論
2017年5月29日 伊藤さんが姓を伏せて名前と顔を公開し、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開く。検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てたと発表
2017年9月22日 検察審査会が「不起訴相当」と議決

2017年9月28日 伊藤さんが山口さんを提訴
2017年12月5日 第1回口頭弁論
2019年7月8日 伊藤さんと山口さんの本人尋問が行われる
2019年10月7日 結審
2019年12月18日 判決

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