「私の子どもの写真を許可なく撮る男性がいます。やめてほしいです」。神奈川県に住むアオイさん(女性・30代)は、近所の公園に毎日現れる「カメラおじさん」に悩まされています。
アオイさんの子ども(小学2年・男子)が公園で遊んでいると、60代くらいと思われる「カメラおじさん」がどこからともなく一眼レフとともに現れ、アオイさんの子どもの写真をひそかに撮影し始めるのです。
不気味に思ったのはアオイさんだけではありません。同じ町内に住む女の子の母親たちは、恐怖を感じ、別の公園で遊ばせているといいます。
「町内会からも『カメラおじさん』には何度も注意しているようです。公園を出禁になった時期もあったと聞いています。現像した子どもの写真を貰ったことはありますが、データは残っていると思うので、悪用されないだろうかという心配があります」(アオイさん)。
「カメラおじさん」のように、勝手に他人の子どもの写真を撮影することは、肖像権の侵害にあたるのでしょうか。吉田要介弁護士に聞きました。
●「肖像権の侵害にあたる可能性」
「勝手に子どもの写真を撮影することは肖像権の侵害にあたる可能性があります。
人は誰でも、みだりに自己の容ぼう等を撮影されない法律上保護されるべき人格的利益を有しています。
と言っても、承諾のない撮影が全て肖像権侵害になるわけではありません。取材など撮影が正当な行為として許されるべき場合もあります」
どのような場合が肖像権侵害にあたるのでしょうか。
「承諾なく撮影することが肖像権侵害にあたるためには、被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮します。その上で、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上、受忍(我慢できる範囲)の限度を超える必要があります」
公園の子どもの場合には、どうでしょうか。
「子どもの顔が判別しないような形で撮影されている場合は、公園という公開の場所でもあるため肖像権侵害とは言えないとは思います。ただ、子どもの顔が判別可能なものである場合は、撮影目的が正当であり、あえてその子どもを撮影する必要性がない限り、肖像権の侵害にあたる可能性があります」
今回の「カメラおじさん」の撮影をやめさせるために、とりうる手段などがあれば、教えてください。
「肖像権侵害による精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めて損害賠償請求をすることが可能です。また、無断撮影については、損害賠償請求する可能性がある旨、警告する方法も考えられると思います」