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住居借りられず仕事の応募も困難、母子世帯を救う「シェアハウス」、全国に広がる
秋山怜史さん(2019年10月4日、弁護士ドットコム撮影、厚生労働省)

住居借りられず仕事の応募も困難、母子世帯を救う「シェアハウス」、全国に広がる

母子世帯の住まい確保を支援するため、今年7月に設立されたNPO法人「全国ひとり親居住支援機構」(横浜市)代表の秋山怜史さん(一級建築士)が10月4日、東京・厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、「住所、保育園、仕事の3つがそろわないと母子の生活は成り立たない。入居しやすく、質の高いシェアハウスを全国に広げ、行政との連携も深めていきたい」と話した。

別居や離婚にともなって、母子世帯が困難を抱えるケースは珍しくない。全国の不動産事業者らと連携しながら「必要に応じて弁護士、精神科医などソーシャルケアにもつなげていきたい」と意気込みを語った。

●不動産を借りる際、84%の母子世帯「不利益があった」

全国で母子のみで生活をしている世帯は75万4724組。父子のみの世帯が8万4003組(平成27年国勢調査)にのぼるという。

「母子世帯が生活を成り立たせるためには、住まいが必要です。行政サービスは住所に基づいているため、住所がなければ支援を受けられず、保育園に行けません。保育園に行けなければ仕事ができない。まずは居住支援が最初にされるべきなのに、有効な制度、政策は足りていません」(秋山さん)

シングルマザーに特化した不動産ポータルサイト「マザーポート」(https://motherport.net/)上でアンケート(回答者112人)したところ、84%の母子世帯が不動産を借りる上での不利益があったといい、「ひどいケースでは審査も通ったのに、母子世帯であることを理由に契約できませんでした」(秋山さん)。

母子シェアハウスでは、母子世帯を理由に入居を断ることはない。さらに、施設ごとに様々なサポートのメニューも整えている。たとえば保育園の送り迎えや夕飯があるなど、母子が生活する上で便利なサービスがついている施設もあるそうだ。

今回、母子世帯に特化していることについて「父子世帯を排除するものではないが、離婚に際しては女性と子が出て行くことが圧倒的に多く、父子世帯の場合、住居が問題にならないことが多いから」と話す。

秋山さんらは2012年から支援を始めた。現在、25の母子向けシェアハウスが全国で運営されているという。

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