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「ドーナツで窒息死」特養あずみの里事件 介助の准看護師、逆転無罪
高裁判決前の21日に会見する弁護団(2020年7月21日、東京・霞が関の厚労省記者クラブ、弁護士ドットコム撮影)

「ドーナツで窒息死」特養あずみの里事件 介助の准看護師、逆転無罪

長野県安曇野市の特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、入所者の女性(当時85歳)がおやつを食べた後に亡くなった事故で、介助中に十分な注意を払わなかったなどとして、業務上過失致死罪に問われた准看護師の山口けさえ被告人の控訴審判決が7月28日、東京高裁であった。

大熊一之裁判長は7月28日、罰金20万円の有罪判決とした一審判決を破棄し、無罪を言い渡した。

判決は、女性は嚥下障害がなく、ドーナツによって窒息することは予見することはできず、山口被告人にはおやつの形態を確認すべき義務はないとして過失を否定した。

判決後、弁護団は「検察は無罪判決を真摯に受け止め、上告しないとの決定を速やかにおこない、被告を解放すべき」と声明を発表した。

●事件の争点は

一審・長野地裁松本支部は、女性の死因はドーナツを詰まらせたことによる窒息と認定。注視義務違反は認めなかったが、約1週間前に窒息防止などのため女性の間食をゼリー状のものに変更していたことなどから、間食の形態を確認して事故を防止すべき義務があったとして、求刑通り罰金20万円の有罪判決を言い渡した。

控訴審の争点は、(1)女性の死因は、ドーナツによる窒息か、(2)ゼリーではなくドーナツを配ったことが「過失」と言えるか、だった。

弁護側は、山口さんに過失はなく、死因はドーナツによる窒息ではなく脳梗塞によるものなどと主張していた。

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