弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 犯罪・刑事事件
  3. 粘り強いナンパは「犯罪と紙一重」 しつこすぎる「ストナン」で警察沙汰に
粘り強いナンパは「犯罪と紙一重」 しつこすぎる「ストナン」で警察沙汰に
画像はイメージです(perming / PIXTA)

粘り強いナンパは「犯罪と紙一重」 しつこすぎる「ストナン」で警察沙汰に

道を歩いていて突然異性に声をかける「ナンパ」。最近ではネットを通じて知り合う「ネットナンパ」に対する形で、「ストリートナンパ(ストナン)」と呼ぶこともあるようです。

そんな路上ナンパで、しつこく女性に声をかけてしまったという男性から弁護士ドットコムに相談が寄せられていました。

男性は路上で初対面の女性に対して飲みに誘って断られました。しかし、その後も引き下がらず、「割り切った付き合いなら出来るか」、「ホテルに行くのは嫌か」などと5分程度しつこく話しかけ続けたそうです。

女性は嫌だったようで、その場で警察に通報。男性は軽く謝って、その場を離れました。

男性は「違法性はありますでしょうか」と尋ねていますが、しつこいナンパは法的に問題になるのでしょうか。小野智彦弁護士に聞きました。

●迷惑も度が過ぎると刑事事件になりかねない

ーーしつこいナンパ、法的には問題になりますか?

ナンパは、されることを楽しむ方がいる一方で、迷惑と感じる方もいますね。お互いに楽しんでいる分には法律問題にはなりませんが、迷惑も度が過ぎると刑事事件になりかねません。

問題になりうる法律は、以下の4つが考えられます。

・軽犯罪法第1条
二十八 他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者

・迷惑防止条例(東京都の場合第5条の2)
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと
(2)その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと

・ストーカー規制法第2条
(1)待ち伏せ、尾行、および自宅や勤務先を見張り、押しかけること
(2)行動を監視していると告げる行為

・刑法 脅迫罪(222条)、強要罪(223条)

●深追いは犯罪と裏腹

ーー色々な法律に触れる可能性がある行為なのですね

声をかけて、断られたらサッと引く。迷惑そうな顔をされたら、サッと引く。そんなことではナンパなど成功しないなどと言われそうですが、それ以上に立ちふさがったり、集団で囲んだりして、不安や迷惑を覚えさせると、軽犯罪法違反です。

ナンパで迷惑と感じるか否かは、人それぞれによって感じ方が変わると思います。それはセクハラでも同じことで、その相手が迷惑と感じるか否かが問題で、「これくらい良いだろう」というのは身勝手な考え方で通用しないのです。

軽犯罪法や迷惑防止条例は、よく客引き行為に適用される法律ですが、5メートルもつきまとえば検挙されてしまいます。

ましてや、「GPSを仕掛けたから、断っても無駄だ」などと言ったら、ストーカー規制法に違反する可能性も出てきますし、「断ったらどうなるか分からない。だから、ホテルへ行こう」などと言う話になれば、脅迫罪や強要罪にもなりかねません。

ナンパをするのであれば、ナンパスポットなどでお互い楽しくやるのが良いと思いますし、「断られたらサッと引く。迷惑そうな顔をされたらサッと引く」ことにして、深追いは犯罪と裏腹と思うようにした方がよろしかろうと思います。

プロフィール

小野 智彦
小野 智彦(おの ともひこ)弁護士 大本総合法律事務所
浜松市出身。1999年4月、弁護士登録。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏が漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴した事件などの代理人を務めた。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする