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熊本の殺人未遂事件、ひっかいた「猫」は「殺処分」される? 心配する声続出
画像はあくまでイメージです。この猫は記事とはまったく関係ありません。

熊本の殺人未遂事件、ひっかいた「猫」は「殺処分」される? 心配する声続出

熊本県御船町の民家で11月上旬、寝たきりの女性が、顔に多数の傷を負った状態で見つかった事件。県警が殺人未遂の疑いもあると捜査していたところ、野良猫にひっかかれて負傷した可能性あることがわかった、と報じられている。ネット上では「猫が殺処分されるのでは」と心配する声があがっている。

●「容疑者の殺処分、絶対反対」の声も

熊本県警などによると、女性は11月6日夜、顔に多数の傷を負った状態で家族に発見された。女性は高齢で会話ができず、寝たきりの状態で介護を受けていたという。命に別状はなかったが、何者かが刃物のようなもので女性の顔を切りつけた殺人未遂の疑いもあるとして、県警が捜査をすすめていた。

ところが、報道によると、女性の家族がエサをやるなど世話をしていた野良猫1匹の爪付近から、血液反応が出たという。熊本県警は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「あらゆる可能性を視野に入れて捜査をつづけている」とコメント。猫の爪から血液反応が出たという報道については「広報したものではない」と説明した。

一方、大手メディアや地元新聞社のネット版では、「“殺人未遂事件” 犯人は野良猫の可能性」(NHK)「〝殺人未遂〟事件は猫の犯行か」(テレビ熊本)「殺人未遂…犯人は猫か」(熊本日日新聞)などの見出しが踊っている。ツイッターでは「殺処分とかにならないといいけど」「容疑者の殺処分、絶対反対!」などと、猫のあつかいを心配する声があがった。

●猫が殺処分される可能性は低い

はたして、この猫は、殺処分される可能性があるのだろうか。環境省によると、動物愛護法上、犬や猫が人に危害を加えた場合でも、保健所に連れていったり、殺処分するといったことは規定されていない。ただし、犬の場合は、狂犬病予防法等で特別の規定があるという。

また、熊本県では、「犬」が人の生命や身体などに害を加えるおそれがある場合、県知事が殺処分を命じることできるとされている(県動物愛護管理条例)。一方で、「猫」については、事件のあった御船町にある保健所の担当者は「人を襲うことが想定されていないため、そのような規定は条例にない」と話す。

「容疑者」とされている猫は現在のところ、保健所に保護されておらず、県警から引き取りの連絡もないという。御船保健所の担当者は「報道からは、警察が検査できているようなので、人に慣れている猫といえる。そこまで凶暴といえないのではないか。殺処分される可能性は低い」と述べた。

熊本県は、県が保護した犬や猫などについて、「殺処分ゼロ」を目指して取り組んでいる。県健康危機管理課によると、2017年度(4月から11月現在まで)の殺処分数は、犬が52頭、猫が0頭だった。県によると、感染症や人に危害を加えるおそれがある場合、譲渡に適さない場合など、やむを得ないケースを除いては、殺処分しない方針だという。

(弁護士ドットコムニュース)

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